タバコはやめて

灰色猫  私の義父は極端なヘビースモーカーで、回りの迷惑も意に介さず、 「タバコをやめるくらいなら死んだ方がまし」と豪語していました。 その義父が当然の成り行きとして肺がんになり、 毒々しい缶ピース7缶を形見にして亡くなりました。 肺がんと分かった後も最後の入院直前まで、 苦しそうに咳をしながらもショートピースを吸い続けた人でした。 「あの世で思う存分吸いなさい」と親戚の者が棺にタバコを収めました。 WHO(世界保健機関)の調査では、 肺がんの75%前後はタバコが原因とされています。
 原爆によって殺された者の遺族は核兵器の廃絶を訴え、 銃によって殺された者の遺族が銃規制を訴えるように、 タバコによって殺された者の遺族はタバコの販売禁止を訴えなければなりません。 義父への供養の意味を込めてこのページを作ったのです。

 タバコの広告がある国は、インドネシアと日本だけだそうです。 電車の中には洋モクの車内広告が堂々と貼られています。 欧米かぶれの日本人向けに、 国産でも洋モクと区別が付かないデザインにしてあります。 不快な商品であることを隠ぺいするように、 爽快なイメージの広告に仕上げてあります。 自国で宣伝できない分、日本人には大々的に宣伝しようという魂胆なのでしょう。 かつて、中国人をアヘン漬けにした上で、 香港を横取りした厚かましい国が繁栄していました。 それと似たようなものでしょうか。 タバコの広告があるのは国辱というものです。 法律で禁止されていなくても、 日本の鉄道会社は自主的にタバコの広告の掲載を拒否するべきなのです。 これはまさに日本の恥です。

タバコの魔力にとらわれている人へ
喫煙者統計
米タバコ会社内部資料中のタバコの害
海外のタバコの警告表示
最高級タバコ
吸ってもいいですか
タバコは下品


タバコの魔力にとらわれている人へ

生まれたとき人は誰もタバコを吸っていませんでした
なぜタバコを吸い始めたのでしょう
それは悪への誘惑だったのでしょうか
仲間に自分を認めて欲しかったからなのでしょうか
映画俳優を見るようなまなざしが自分に向けられる陶酔
しかしそれはただの思い込みだったのかも知れません
一人前のおとなになったと自分に言い聞かせたかった
タバコを吸って安心したかったのでしょう

ヤニ色の歯、真っ黒な肺、口の中にずっと残るいやな味
愚かさに気付いたときには
体が自然にタバコを求めるようになっていました
タバコを吸わないとイライラして何も手につかない
タバコは耐え難い焦燥感を与え心を支配するのです
あなたをどこまでも引きずり込む麻薬
しかしタバコが一体何を満たしてくれたのでしょうか

タバコに支配されている姿ではなく
タバコの誘惑に打ち勝つ強い意志こそ賞賛に値するものです
タバコの支配から脱するには大きな痛みが伴います
何のためにタバコを吸うのか
白日のもとに自らの理性を呼び覚まして
一時(いっとき)の快楽に陥らぬように
痛みに耐え、強く立ち向かってゆけますように



喫煙者統計

 JT(日本たばこ産業)が発表した 2000年5月時点の全国タバコ喫煙者率調査の結果です。

項目男性女性男女合計
喫煙者率53.5%13.7%32.9%
対前年比0.5%減0.8%減0.7%減
最高年代 30代 63.4%20代 21.9% −−
毎日吸う人の平均本数 24.2本17.3本 −−
過去最高(1966年) 83.7%18.0%49.4%

 若い女性の喫煙者が多いのは、 オヤジギャル(おやじになりたい娘)症候群の影響であると私は分析します。 20代の女性は4人に1人以上がニコチンネェチャンだそうです。 人目をはばからず電車の中で化粧をするメイク虫というジコ虫の一種と 相通ずる美意識のようです。 これは脳の前頭連合野が未熟な一種の脳機能障害であるという説もあります。 美しさに無頓着な下品な男性の姿に憧れているようです。

性的に不満な婦人は激情的な喫煙者になる   学者ホーフシュテッターの言葉

 以下は厚生省が発表した1999年2〜3月の実態調査の結果です。

15〜19歳の未成年者の喫煙率
男性19.0%
女性4.3%
初めてタバコを吸ったのが未成年の時だった人は全体の54.7%

喫煙者の内のタバコ依存症の割合
全体53.9%
10歳代に喫煙を始めた人62.0%
20歳代に喫煙を始めた人53.5%
30歳代に喫煙を始めた人47.7%

 1998年に米国のスクリプス研究所が 「禁煙が難しいのは、ニコチン摂取をやめると、 さまざまな快楽に対する脳の感受性が低下し、 以前と同じ快楽を得るのにより大きな刺激が必要になるため」と発表しました。 ニコチンの常用が脳の快楽の回路を大きく変化させているとみられています。
 タバコの害を警告されないまま喫煙を続けて依存症になったり、 職場で同僚のタバコの煙を吸って健康を害したと主張して、 愛知県内のヘビースモーカーら4人がJTを相手取り、 タバコの製造販売禁止と1人あたり100万円の慰謝料支払いなどを求めた訴訟で、 名古屋地裁に続き名古屋高裁でも原告側が敗訴しました。 「疾患としてタバコ依存症が存在するとは認められない」という判決で、 厚生省の見解とは全く逆の見解を示しました。 世の中の常識にとらわれないで、 「疑わしきは罰せず」という原則に忠実なことだけは評価できますが、 タバコ天国日本のお寒い現状を物語っています。 一方JTは喫煙に関する医療費返還訴訟の和解金を米国の46州に 永久に支払い続けるそうです。 2000年に約1億7千万円を支払い、以降も負担は増えていき、 日本国内での対応とは大違いです。



米タバコ会社内部資料中のタバコの害

 1998年に米ミシガン州がタバコ会社7社に勝訴した損害賠償訴訟の過程で、 各社が提出した内部資料の中のタバコの害に関する部分の抜粋です。  米国最大のタバコ会社であるフィリップ・モリスは、
ホームページ上で、 喫煙が『肺がん・心臓病・肺気腫・その他重大な病気』の原因になっている と認める発表をしています。



海外のタバコの警告表示

 アメリカではタバコ会社を訴える訴訟が起こされ、 大手タバコ会社5社は全米の各州政府などに対し、 24兆円以上を支払うという
和解案に合意したそうです。 そしてタバコ会社は、タバコの中毒性をうかがわせるデータを持ちながら、 公表していなかったことが明らかになりました。 膨大な和解金だけでなく、タバコの危険性に関する情報を隠してはいけないことや、 会社のホームページに喫煙と健康に関する文章を掲示することも義務付けられました。 タバコ会社には、タバコを吸う人にその危険性を知らせる責任があるのです。
 日本を除くほとんどの先進国では、 パッケージに健康への影響を具体的に表示するよう義務付けています。

アメリカ SURGEON GENERAL'S WARNING:
Smoking By Pregnant Women May Result in Fetal Injury, Premature Birth, And Low Birth Weight.
妊娠中の喫煙は胎児を傷つけ、早産、低体重児となる恐れがある
フランスFumer provoque le cancer 喫煙はガンを引き起こす
カナダSmoking can kill you
Health Canada
喫煙により死に至ることがある
タイ タイの警告文 タバコは脳内出血を引き起こす
日本警告ではない単なる注意書き あなたの健康を損なうおそれがありますので吸いすぎに注意しましょう  喫煙マナーをまもりましょう

カナダのタバコ  日本のタバコの注意書き表示の内容や方法は、 「たばこ事業法」という法律によって定められています。 大蔵省の説明では、日本の表示は警告表示ではなく注意喚起のレベルで、 それ以上のことをするしないはタバコ業者の自主性に任せているということです。
 一方カナダでは、2000年12月から2001年6月までに、 カナダ国内で販売するタバコには、 右の例のような、写真付きの警告表示をすることが義務付けられたそうです。 これには、喫煙が口の中のガンを引き起こすとか、 歯や歯茎にどのような影響があるかということを具体的に書いてあります。
 日本でも2000年11月ごろにタバコのパッケージのデザインが新しくなりましたが、 こちらは販売促進を狙ってタバコを新鮮なイメージにしたもので、 国際的動向には全く逆行するものでした。
タバコの上位人気10銘柄
1. マイルドセブン・スーパーライト
2. マイルドセブン・ライト
3. マイルドセブン
4. セブンスター
5. キャスター・マイルド
6. キャビン・マイルド・ボックス
7. ラーク・マイルド・ボックス
8. フロンティア・ライト・ボックス
9. マールボロ・ライト・メンソール・ボックス
10. マイルドセブン・エクストラライト

 日本で販売量の多い人気のあるタバコは、 「マイルド」や「ライト」といった名前の付いた軽いイメージのタバコです。 こういった名前の由来はタバコに表示されているニコチンやタールの量です。
 しかし表示されているニコチンやタールの量は、 特殊な機械を使って測定した結果であって、最近の研究で、 低ニコチンタバコでも人体への吸収量はそれほど少なくないことが分かったそうです。 低ニコチンタバコはフィルター部分に小さな穴が開けられており、 測定器に煙が流れ込みにくくしてあるのですが、 実際に人がタバコを吸うときには穴は役に立っていないのです。 またタバコには、アルカリ性物質の添加物が加えられていて、 それが人体へのニコチンの吸収を高めているそうです。 タバコ会社は「添加物によって煙のニコチン量を変える技術」や 「添加物を加えてタバコを吸う満足感を与える技術」を開発して、 特許を取得しています。 「マイルド」や「ライト」という名前は、ただの「まやかし」の軽さにすぎないのです。



最高級タバコ

 タバコ特別税が1998年12月に導入されて、1箱当たり20円値上げされたことにより、 1999年度中に国内で販売された紙巻タバコの総額は前年度より4.2%増加した一方、 販売された本数は前年度より1.3%減少しました。 タバコ税の増税は、 税収の増加と国民の健康増進という一石二鳥の効果をもたらす結果となりました。
 20円などとケチなことを言わないで、 いっそのこと1箱1万円ぐらいにしてしまうと、もっと良い結果が出るはずです。 1万円もする最高級なタバコなら、 火を付けたまま灰皿に載せておくのはもったいないし、 愛煙家は出来るだけ煙を無駄にしないで吸い込もうとするため、 周りに流れる煙が少なくなって他人への迷惑が少なくなります。 タバコ嫌いな人は、他人がタバコを吸うことが迷惑ではなく、 煙を全部吸わないで余計な煙を周りにまき散らすことが迷惑なのです。
 最高級タバコのもたらす効果はまだあります。 終戦後によく見られた「モク拾い」の復活です。 高価な吸い殻が所構わず捨ててあれば、それを拾って再利用する人が現れるはずです。 吸い殻を集めてほぐして紙に巻き直し、再生タバコを作るわけです。 「モク拾い」は街の美化に大いに役立ちます。
 1箱1万円の最高級タバコの実現は、 「税収の増加」、「国民の健康増進」に加えて、 「迷惑の減少」、「街の美化」という恩恵までもたらします。 まさにいいことずくめと言えます。



吸ってもいいですか

 かつてJTの新聞広告に次のような一文がありました。
「タバコはストレスを吸収してくれる吸い取り紙。 神経を使う撮影ほど必要だし、救われてる部分は大きいよ。 でもそれが他人のストレスになっちゃ、ね。 『吸ってもいいですか』と一声かけるとか、周りへの配慮は忘れないな。」
『吸ってもいいですか』と言われて、NOと言える人はどれだけいるのでしょうか。 まさしくNOと言えない日本人なのです。
 がんと闘っていた著名なロックシンガーはこんなことを書いています。
「肺がんでもあった僕の前で平然とタバコを吸う人もいる。 もちろん、断ってから吸う人がほとんどではあるが。 ただ、『吸ってもいいですか?』と聞かれ、嫌とは言いづらい。 本当は煙も臭いも嫌だし、すぐにむせるし、 健康への害も気になるからやめてもらいたいのだが、 目上の人だったりすると絶対に言えない。 『吸ってもいいですか?』は『吸いますよ』なのである。 喫煙者はもっと他者に対して気を使うべきではなかろうか。」
(1999年のクリスマスにこの文を書いている最中、 偶然にもこのロックシンガーのI.K.さんの訃報がラジオから流れてきました。 I.K.さんのご冥福を心よりお祈り申し上げます。)
 『吸ってもいいですか』に代わる尋ね方としては、 『あなたはタバコを吸いますか』がよいと思います。 『吸いません』と答えた人の前では、決してタバコを吸うべきではないのです。



タバコは下品

 煙い、臭い、汚い。この3Kとはタバコのことです。 煙たいのは言うまでもなく、 タバコを吸ったばかりの人が電車の中などで隣合わせになったときには、 臭くて顔をそむけたくなります。 タバコの煙は真っ白な壁を薄茶色に汚します。 ところ構わず吸殻が捨ててあるのは、明らかに喫煙者のしわざです。
 中学生を対象にした調査によると、 タバコを吸うのはかっこいいという意見が多くありましたが、とんでもない転倒です。 タバコを吸わない人の前でタバコを吸うのは、 人前でわざと大きな音をたてて臭いおならをするように下品で無礼な行為なのです。 どちらも空気を汚して、他人に迷惑をかけるわけですが、 おならより更に悪いことに、タバコは人の健康にまで害を及ぼすのです。 きれいに化粧をした若い女性がタバコを吸う姿は、 薄汚れた肺の中が透けて見えるようで不快に思えます。
 タバコを吸う人に自分が下品であるという認識が全くないのは、 タバコを流行らせたいと考える側のイメージ作りが効を奏しているからでしょう。 昔から映画やテレビでは、 喫煙に対して下品とは全く逆のイメージが故意に作られてきました。 それにより多くの若者が自分の姿を正しく認識することなく、 タバコに心身をむしばまれていくことになったのです。
 タバコを吸う人の多くは、かっこよさを求めて吸い始め、 中毒になってやめられなくなってしまったものです。 新しい喫煙者を増やさないためにも、 タバコはかっこ悪いという事実を周知させることが重要だと思います。 商業主義に根ざした歪んだタバコのイメージを廃し、 タバコが下品であるという認識を取り戻さなければなりません。 考えてみて下さい。 喫茶店などで、うら若き女性が「放庇一発いい気持ち」などとしている姿は、 実に嘆かわしいものではないでしょうか。


BALCONY   やすらぎのバルコニー