気がつくと、オレはそこにいた。
見覚えのある景色、懐かしい場所。

 そこは、以前オレが住んでいたところだった。
今は、誰も住んでいないが、でも、この景色が懐かしかった。
ふと、空をを見上げる。
これは、オレの癖だった。

「何でここにいるんだっけかな・・・」
思い出せなかった。
本当に、気がついたらここにいたのだ。
「まぁ、いいか・・・」

 しばらく、この村を散策することにした。
あのころと、人が住んでいないことをのぞけば、
何も変わらない景色。
懐かしい空気を吸い、辺りを見回す。
オレの好きだった、あの場所もそのままあるはずだ。

 そこを目指して、しばらく歩く。
まだ暑い、9月のはじめのことだった。


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