あれから木にもたれて少し眠ってしまった。
目が覚めると、もう夜になっていた。
月が大分高い位置にある。
夕焼けから、3時間くらいは寝てしまったようだ。
この湖は、やはりいつ見てもきれいだ。
特に夜。
月が湖に映ると、ものすごく幻想的だった。
森の形も、昼とは違う印象がして、それもよかった。
もうすぐ、月が真上に来る。
大体それと同じくらいの時間に月は湖の真ん中に映る。
「また、真ん中辺りに行ってみるかな・・・」
船は残っていた。
船で漕ぎ出し、湖の真ん中に向かって進んでいく。
多分、たどり着いても、何もないだろう。
しかし、今行かなければ、もう一生行くことはできない。
本当は、ご法度なのだけど、でも、もう一度だけ・・・
湖の真ん中辺りで、月を見ながらゆらゆらしている。
そろそろ、月がオレの真上辺りに来るころだ。
今日はここで寝て、明日はゆっくり歩いて帰ろう。
昼は残暑が厳しいけど、夜、しかも湖の上。
すごくすずしくて、気持ちがよかった。
そして、湖に映った月に目をやると、
そこには、人が立っていた。
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