さっきから、女神様は電話をしている。
かけてきたのは、近所の大きな神社の神様だ。
「えぇ、そう、今年はうちが当番なの・・・ううん、大丈夫だと思う、コマがいるから・・・
えぇ、わかった、明日のお昼のバスね。」
そういうと、女神様は電話を切った。
「明日のお昼、何かあるんですか?」
ぼくは興味本位で聞いてみる。
「えぇ、全国の神様の集会みたいなものよ。今年はうちが当番なの。」
詳しく教えてもらったが、毎年10月は出雲で神様の集会があっているのだという。
「昔は全員参加だったんだけどね、ここ30年くらいは地域の代表とあと二人程度になったの。」
地域の代表は例の近所の大きな神社らしい。
あとの一人はぼくの知らない人だった。
「そういうことだから、コマ、美子と一緒にお留守番よろしくね。」

 次の朝、ぼくはお弁当を作った。
もちろん、3人分だ。
おにぎりは作れないので、それは美子に頼んだ。
「コマ兄って不器用だよね。」
美子は言う。
「おにぎりはまかせといてね。」
美子のおにぎりはすごくおいしそうだ。

「まぁ、ありがとう。でも、これちょっと作りすぎじゃないかな・・・」
出かける前、女神様にお弁当を渡した。
「一応3人前です。どれくらい作っていいかわからなかったから、少し多めに作りました。」
「そうなんだ、ありがとう。」
女神様は、まだ何か言いたそうだったが、それ以上は言わなかった。
「じゃぁ、お元気で。」
「なんかしばらく会えないような大げさな言い方ねぇ。」
「気をつけてね、でいいと思うよ、コマ兄。」
美子は的確なことを言う。
「そうよ、3〜4日で帰るから。」
「4日!!!!!」
ぼくはめまいがした。
「その間、美子をたのむからね。」
女神様はそう言ってぼくに微笑みかけた。
おかげでちょっとだけ元気が出た。
「わかりました。お任せください。」
「コマ兄、よろしくね。」
そういうと、美子は抱きついてきた。
明日からがんばろう、そう思って女神様を送り出した。




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