今日、ようやく女神様が帰ってくる。
昨夜、女神様からそう電話があったのだ。
夜行バスで帰ってくるとのこと。
「瞬間移動できるじゃないですか。」
ぼくは言った。
声に少し不満が交じってしまった。
少し反省する。
「そうすねないの。お金はある程度使うことにしているのよ。」
女神様に限らず、皆様はあまりはやっていない会社を選び、できるだけ助けるようにしているそうだ。
「そっちは変わったことなかった?」
「ふっふっふっふ…ありましたよぉ。」
実はオムレツを上手に作れるようになった。
美子も喜んで、お代わりをした。
「え?いったい何があったの?」
「んっふっふっふ…秘密です。」
女神様は吹き出していた。
「まぁ、問題が起きてないならいいんだけど。」
「楽しみにしていてくださいね。」
ぼくは胸を張って言った。
ぼくも美子も、今朝はいつもの3倍頑張って掃除をした。
「早く、女神様が帰ってくるといいね。」
美子はわくわくしている。
「そうだね、楽しみだね。」
ぼくはドキドキしている。
からからと、引き戸のあく音がした。
「ただいまぁ、聞いてよ、深夜バスって眠れないのよ。」
しかしぼくも美子も聞いていなかった。
二人で走り、女神様に飛びつく。
「わぁっ、ちょっと」
女神様が驚いたように言う。
「もう、コマ、あなたの体格でそんなことしたら、ふつうは大けがよ。」
あきれたような、でもまんざらでもない、といった感じで女神様は言う。
奥に入ってお茶を飲み――女神様はもう熱いお茶を飲む――少し横になる、と言った。
「深夜バスってなかなか眠れないのよ。」
そう言って、座布団をまくら代わりにして横になった。
そんな女神様を見ながら、今日は作れるようになったオムレツで驚かせようとぼくは準備を始めるのだった。
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