今日は朝から雨だった。
ぼくは扉をそっと開ける。
空気が冷たい。
でも、それが気持ちよかった。
「コマ兄、寒いよ。」
美子が後ろから言った。
「あぁ、ごめんごめん・・・」
ぼくは扉を閉める。

 美子は本を読んでいた。
「今日は雨だから外で遊べないね。」
ぼくは美子に言った。
「うん、でも、私は雨の日に本を読むのも好きだよ。」
実に感心なことを言う子だと思う。
「そうだね。」
ぼくはそういって、好きな本を手に取った。

 ぼくは一番好きな話を読み終わると、背伸びをした。
よく見ると、女神様も本を読んでいた。
「雨の日って、みんな読書ですねぇ・・・」
別に女神様に向かっていったわけではない。
本を読むと周りが見えなくなるタイプだから。
でも、返事が来るといいな、と少し思っている。
時計を見るともうすぐ夕方だ。
ぼくは買い物に行こうと立ち上がった。
「ん!?あぁ、コマ、なんか言った?」
「いえ、特に何も・・・」
女神様は本を読むとこんな感じだった。

 お店に行くと、お肉が安かった。
にんじんジャガイモとたまねぎを買った。
今日は肉じゃがだ。

 帰り道、雨が冷たかった。
冬の雨は冷たい、でもそれが気持ちいい。
ぼくは空を見ながら家に帰るのだった。


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