「ただいま。」
ぼくはからからと戸をあけた。
弟も後ろからついてくる。
「あら?まだ家を出てから3時間よ?もう見つかったの?」
女神様が不思議そうな顔をして出迎えてくれる。
「コマ兄?」
美子もはしゃいで出てくる。
「いえ、あの絵を描いた山がですね、丁度ここから見えるあの山だそうです。」
ぼくは鳥居の向こうを指差した。
「だから、ひとまずお昼ご飯を食べようかな、って・・・」
女神様はくすっと笑う。
「ご飯食べに帰ってくるあたりがコマらしいね。」

 今日のことをお昼ご飯を食べながら報告した。
「そう、場所は聞いたからお昼からそこに行くんだ。」
「えぇ、そうです。」
女神様は嬉しそうなさみしそうな複雑な顔をしている。
「見つけたら、連れて行ってね。」
今度は美子が言う。
「あぁ、約束する。」
「それにしても、意外と早く見つかりそうな気がしてきたな。」
弟はしみじみと言った。

「いってらっしゃい、気をつけてね。」
女神様はおにぎりを作ってくれた。
「えぇ、行ってきます。」
ぼくたちはあの山を目指して歩きはじめた。

「見つかったら、2〜3日してからまた旅に出るよ。」
弟は何となくという感じで言った。
「でも、あの山をいろんな高さから360度回ってみるんだぜ?ここからが時間のかかるところだよ。」
「確かに、そうだな・・・」
弟は軽くため息をついた。
「まぁ、近くを旅するのもいいだろう?」
ぼくが言うと、弟は少し明るい声で
「あぁ、そうだな。」
と答えるのだった。


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