ぼくはファイルに新しいえはがきを入れた。
えはがきを集めるのはぼくの趣味だ。
あの時以来、たまに美術館に行くようになった。
美術館には、飾ってある美術品のえはがきが売ってある。
ぼくは必ず、気に入った絵のえはがきを買う。
えはがきをファイルに集めたら、ぼくだけの美術館ができる。
小さいけど、ぼくの好きな絵だけの美術館だ。
「ねぇ、どれくらい集まったの?」
美子がのぞきこみながら聞く。
「うぅ〜ん・・・まだ多くはないよ。」
ぼくはぺらぺらとページをめくってみた。
まだ7〜8ページくらいだ。
「それにしても、ずいぶん美術館に行ったよね。」
女神様もぼくのファイルを見ながら言う。
美術館ではよその美術館の展示品が飾られることもある。
たまに美術館に行くといつもと違う美術館が見られることがあるのだ。
ぼくたちはそれが楽しみだった。
「行くたびに、少しずつえはがきが増えるね。」
女神様もぼくと同じで楽しんでいる。
「おうちの中に飾ったら、うちも美術館みたいになるかな。」
美子もえはがきが集まるのがうれしいみたいだ。
「ファイルいっぱいになるのは、いつになるかなぁ・・・」
ぼくは・・・いや、ぼくたちはそれが楽しみだった。