神社の建物の横には花壇がある。
昨年、ぼくがひまわりを植えたときに作ったものだ。
ひまわりが枯れてから、放置していたので雑草が結構伸びている。
それを思い出したのは、美子の言った一言からだった。
「花を植えたい。」
最近、ずっと植物図鑑を見ていたのだ。
影響を受けたのだろう。

 女神様とぼくと美子で花壇を見に行く。
「うわぁ・・・もうちょっとちゃんと手入れしとけばよかった。」
「まぁ、仕方ないよね。」
「ここ、きれいにしないと花は植えられないんだよね。」
ぼくは一番長くて太い草を引っこ抜く。
「そうだね、がんばろう。」

 1時間くらいがんばって、ようやく半分片付いた。
手足はずいぶん泥だらけだ。
「ちょっと、休憩しようか。」
女神様が雑草をゴミ袋に詰めながら言う。
「そうだね、ちょっと疲れた。」
美子は手をはたきながら言う。

 ぼくたちは中で冷たいお茶を飲み甘いお菓子を食べた。
肉体労働の後は甘いものを食べると疲れが取れる、と、いつも女神様は甘いものを出してくれる。
「甘い♪甘あぁい♪」
ぼくはチョコレートを食べながら歌った。
「コマはほんとに甘いものが好きね。」
女神様は笑っている。
「すごくのりのりだよね。」
美子も楽しそうだ。

 結局、汚れるから続きは明日、ということになった。
「明日は種も買いに行こうね。」
美子はうれしそうだ。
「何を植えるか決めないとね。」
ぼくは言った。
ぼくたちは晩御飯のときに何の花を植えるか話し合った。
「私は木が良いなぁ。梅がいいかな、桜はあるから。毎年楽しめるしね。」
女神様はずいぶん気が長い。
「ぼくはひまわりかな。」
去年も植えたが、ひまわりが大好きなのだ。
「チューリップが良い。チューリップが好き。」
美子が図鑑でずっと見ていたところだ。
いろいろ話して、最終的にとうもろこしを植えることになった。
夏のバーベキューで食べれるものを、ということになったのだ。
「植えるのも、食べるのも楽しみだね。」
と、美子がまとめるのだった。


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