明け方、まだ5時にもならない頃、目が覚めた。
ふと、昔のことを思い出したのだ。
昔、ぼくが仕えていた神様はどこで何をしているのか。
ぼくの弟は、北で住むところを見つけられたのか。
また、二人に会うことはあるのだろうか。
さまざまなことを考える。

 座ってため息をつく。
もう少し眠ってもいい時間だ。
もう一度ごろん、と布団に転がる。

 なぜかぜんぜん眠れない。
水でも飲もうと静かに立ち上がる。
隣で寝ている女神様を起こさないように。

 冷蔵庫から冷たい水を出して飲む。
それから、布団に戻る。
もう掃除を始めるか、それとももう少し寝るかを考えながら。

「おはよう、コマ。今日は早いのね。」
布団に戻ると、女神様はもうおきていた。
「おはようございます。女神様も早いですね。」
いつもは二人ともまだ寝ている時間なのだ。
「なんか、目が覚めちゃってね。」
女神様が言う。
「ぼくは・・・昔仕えていた神様のことや、
弟のことを思い出したら目が覚めました。」
「また会いたいの?」
女神様はやさしい笑顔で聞く。
「えぇ、でも、もう会えないかなって思うと、眠れなくて・・・」
「切ないのね。」
切ない・・・人間の感情はうまく表現できない。
だから切ないのかどうかわからない。
「たぶん、切ないのよ。」
ぼくのことを察して、女神様が言ってくれる。
そして
「また、会えたらいいね。」
と言ってくれるのだった。
また会えるかはわからないが、少し安心できた。


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