中に入り、ぼくは弟と女神様、美子にお茶を出す。
掃除をした後なので、みんな冷たい飲み物にした。
「兄者にしては気が利くな。」
お茶を飲みながら弟が言う。
「コマ兄、この人誰?」
不安そうに美子が聞く。
「ん・・・弟だよ。狛犬の相方。」
「そうなんだ。こんにちは。」
少し安心したらしい。

 女神様と美子が、ぼくの昔の事をいろいろ聞いている。
しかし、昔は物の怪と戦っていたり、呪いを防いでいたりと、
それくらいしか話題がない。
それ以上に、弟はどこか不満そうな顔をしている。
「さっきから、なんか不満そうだな。」
「ここでの生活、楽しいのか?」
突然のとんでもない発言だ。
「どういう意味だ?」
自分でも声に力が入っているのがわかる。
「いや・・・この二人と暮らしていたら、そりゃ今みたいになるだろうと思ってな。」
「今の状態で何が悪い?」
ぼくの言葉に力が入る。
「別に。ただ以前に比べてヘタレに見える。それだけだ。」
「二人とも、やめなさい。」
女神様が言う。
仕方なくぼくは黙った。

 弟のことを、女神様はあまりよく思わなかったようだ。
当然といえば当然の話だ。
しかし、次の一言にぼくは驚いた。
「そんなに悪いかどうか、2〜3日ここにいて様子を見てみたら?」
「では、そうさせていただきます。」
ぼくは深くため息をついた。


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