ぼくは昼食の買出しに行っていた。
弟が来たので少しいいものを、と思い、高めの食材を買ってきた。

「ただいま。」
弟がふらふらと出てきた。
「兄者・・・あの子に好かれてるんだな・・・」
「どうしたんだよ、疲れきった顔をして?」
どうやら弟は、美子にいろいろぼくの話を聞かされたらしい。
妖怪退治をしたとか、たくさん本を読んでくれるとか・・・」
「まぁ、そんなこともあったね。」
「だが、あんな子がいたらやさしくもなるかもな。」
弟は、昨日とは違う表情で――どこかうれしそうに言った。

 昼食後、4人でだらだらと過ごす。
ぼくたちの昔の話をしたり――昨日とは違って失敗談を笑いながらとか
なんとなくテレビを見たりしてすごした。
弟はテレビをゆっくり見るのは初めてだっと言った。
すごく引き込まれて見ている。

 夕食のとき、弟は言った。
「すごく楽しかったです。兄者が変わるのも仕方がないかと思いました。
不肖の兄ですが、よろしくお願いします。」
「昨日とはずいぶんな変わりようだな。」
「昨日のことはちょっと反省したんだ。ちょっと言い過ぎたと思うし、
2年もたったんだから変わるかもしれないと一人で考えたんだ。」
弟は、自分とは違った環境を楽しめたようだ。
「オレは明日、昼くらいにここを出ます。また、こっちに来るときはよってもいいですか?」
弟はここがずいぶん気に入ったようだ。
「いつでも来ていいのよ。コマの弟なんだから遠慮はいらないよ。」
「また、遊びに来てね。」
女神様と美子も弟を受け入れてくれた。

 その夜は狭い中を4人でぎゅうぎゅうやって寝た。
弟は寝る前に一言、ぼくに言った。
「こういう生活もいいな。」


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