今夜は満月だ。
一昨日の夜、女神様と話をして、月見をしよう、という話になった。
だから、夕方から準備をしている。

 ぼくは、折りたたみ式のいすとテーブルを出す。
女神様と美子は料理を作っている。
沈んでいく太陽の反対方向に月が白く輝きだす。

 ぼくはCDも準備した。
静かでやさしい音楽をかける。

「乾杯!!」
ぼくと女神様はビールを、美子は100%のジュースをそれぞれ飲む。
女神様の方針で、ジュースは100%の果物系のみなのだ。

「お祭りのときみたいに、楽しいね。」
美子はうれしそうに言う。
「みんなも誘ったらよかったかな・・・?」
「ううん、お月見は静かにやりましょう。」
確かに、そのほうがお月見っぽい気がした。

 ぼくも女神様もお酒で陽気になっているけど、近所迷惑にならないように、と
3人でお話しては、くすくす笑っている。
おかしくておかしくてたまらないのに、我慢してくすくす。
でも、それが逆に楽しかった。

 月を見ながら、3人とも楽しく過ごした。
いつの間にか、美子はぼくの腕の中で眠っていた。
「じゃぁ、もう中に入ろうか。」
女神様が言う。
「えぇ、残念ですけど、そうしましょう。」
ぼくは美子を布団に運ぶ。

 ぼくと女神様は、片づけを終わらせて布団に入った。
「一昨日、お話できてよかったね。」
「えぇ、おかげでお月見ができました。」
「また、来年もしようね。」
「はい。ぜひ。」
ぼくと女神様はその夜遅くまでくすくす話を続けた。


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