祭りの当日は、すばらしく晴れていた。
雲ひとつない、いい天気だった。
朝から、いつも以上に念入りに掃除をする。
だいたい、夕方6時過ぎからなんとなくお祭りを始める。
まだ、ぼくと女神様と美子の3人しかいない。
3人で、ビールと麦茶で乾杯をする。
「とりあえず、始まったね。」
「えぇ、皆さん、来てくれるといいですね。」
「お祭り・・・楽しい」
二人とも・・・いや、ぼくもだけど、すごくにこにこで、楽しんでいるのがわかる。
「それにしても・・・」
ぼくの選んだラテン系の音楽を聴きながら、女神様が言う。
「この音楽で、ビールサーバーで飲んでたら、ビアガーデンみたいね。」
責めるでもなく、にこにこしながら言う。
いつだって、女神様は怒らない。
ただ、にこにこと自分の意見を静かに述べるだけだ。
「それはそれで楽しいよね。」
そういってふふふ、と笑う。
30分位してから、裏のアパートから数人来た。
管理人さん夫婦(名前は塚本さんというらしい)と、一人暮らしの大学生、母子一組だ。
母子は子どものほうが美子と同じくらいで、すぐに仲良くなった。
ぼくは大学生と少し話した。
名前はタカシくん、という。
その夜は、みんなで飲んで、食べて、騒いで、大いに楽しんだ。
お祭りって本当にいいものだと思う。
「来年は、ここでバーベキューにしよう」
塚本さんが提案する。
「家にはセットがあるんだよ」
「そしたら、オレも野菜か何か持ってきますね」
タカシくんが言う。
みんなであれこれ楽しんで、仲良くなって、すごく楽しかった。
来年はお祭りじゃなくてバーベキュー。
美子と、同世代の友達もいるから、来年は花火も用意しようと思った。
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