「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・」
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・」
ぼくと美子は扇風機の前であぁぁぁぁぁあって言っていた。
「声が面白くなるね。」
「夏はこれをしないとね。」
ぼくも美子も大爆笑で続けていた。
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・」
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・」
女神様がそれを見て笑っている。
「変なことするのが好きだねぇ・・・」
何のことはない、楽しい日常。
「今度は蚊取り線香で遊ぼうか?」
ぼくは美子に提案してみる。
「ダメ!!」
女神様が強く言った。
「それは火事の元よ。ダメ、絶対。」
「・・・わかりました。」
ぼくはちょっとしゅんとなる。
ちょうど、そのときだった。
「おい、兄者、いるか?」
弟があわてて駆け込んできた。
「ん・・・どうした?一緒にあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁってやるか?」
「何のんきなこと言ってるんだ?俺たちが住んでいた神社が大変なことになっているぞ。」
「なんだと!?」
ぼくはびっくりしてつい大きな声を出してしまう。
「落ち着いて、二人とも。まず何があったのか説明して。」
女神様が冷静に言う。
「もともと私たちの神社は牛の刻参りの名所でした。
最近、それがひどいようで呪いが実体を持ち始めていました。物の怪が出来上がりそうです。」
弟が説明する。
「ちょ・・・そんな情報どこで手に入れたんだよ?」
「たまたまこの町を通ったのでよってみたんだ。そしたら呪いが実体化してた。」
「やばいね。退治しに行かないとね。」
「兄者・・・さすがにこの状況でその言い方はのんきすぎて腹が立つ・・・」
「いやぁ、ごめんごめん。じゃ、ちょっと様子を見に行こうか。」
「ぜんぜん話し方変わってない・・・」
ぼくたちの会話に、女神様が口を挟んだ。
「大丈夫なの?危なくない?」
すごく心配そうな顔をしている。
「一人では危ないので、兄者に応援を頼みに来ました。」
すると、今度は美子が大きな声を出す。
「危ないところにコマ兄を連れて行くの?」
それは非難めいた言い方だった。
ぼくは、美子の頭に手を乗せた。
「大丈夫、何とかなる。」
そして、美子の顔を見る。
美子もぼくのほうを見ていた。
「最初は、ただの偵察だから。それから、危なくないように作戦を立てるよ。そうだろ?」
ぼくは弟に聞く。
「そう・・・だな。今回はちょっととんでもない事態だ。それが無難だ。」
今までは少々の呪い相手ならごり押しで戦っていた。
しかし、実体を持ち始めるとなるとまともにぶつかっても危険だ。
「すぐに帰ってきてね。」
美子はしぶしぶだがぼくが行くことを認めてくれたみたいだ。
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