女神様は、神社の中に声をかけると、女神様と同世代に見える女性が出てきた。
きゃあきゃあ騒いで二人で再開を喜んでいる。
まるで女子高生か何かだ。
「何か、古い友人ってうらやましいね。」
「そうだね、でも、私はまだ7歳くらいだから・・・」
美子が言う。
ぼくも前の神社では一歩も出なかったので、古い友人はいない。

 女神様は友人と奥に入っていった。
ぼくたちも一緒に来ていいといわれたが、邪魔するのも悪いので
外で二人で遊んでいることにした。

 ひらひらと蝶が舞い、それを美子が追いかける。
ぼくはそれを少し離れたところで見ていた。
なんとも平和な光景だ。
ついつい笑顔になってしまう。

 神社の裏には、この近辺の歴史に関することが書いてあった。
この桜も、ずいぶん長く生きてきたようだ。
それを読んでいると、隣に美子が来た。
「何読んでるの?」
「この辺の歴史とかが書いてあるんだよ。」
「へぇ、すごいね。」
女神様たちの部屋が近いらしく、時々楽しそうな二人の笑い声が聞こえる。

 大体2時間くらいたって、女神様が出てきた。
「せっかく130年ぶりくらいに会ったのにね。」
「今度はあなたが来てよ。」
ずいぶんとレベルの高い会話をしている。
「じゃぁ、また来てね。待ってるから。」
女神様の友人がそういった。
「あなたたちも、いつでも歓迎するからね。」
ぼくと美子にも、最後にそう言ってくれた。

「楽しかったですか?」
帰り道、ぼくは女神様に聞いた。
「えぇ、とっても。」
女神様は本当に満足した、という感じの顔で答える。
鳥居を出たあたりで蝶が一匹飛んできて、美子の頭にふわりととまった。
まるでリボンのようだ。
「わぁ・・・」
「きっと見送りに来てくれたのね。」
「これはきっと、いいことの予兆だよ。」
そのまま3人で笑顔で旅館に戻った。


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