昨日の夜から、雨が強くなった。
眠っていたら、雨の音で目が覚めたくらいだ。
美子が来て3日目。
美子はぼんやり外を見てすごしている。
最初に笑ったがそれ以来あまり元気が無いのでぼくも女神様も心配している。

「晩御飯のお買い物に行くけど、一緒に行く?」
美子に聞いてみる。
「ううん・・・いい・・・」
「そう・・・」
ショックなのはわかるけど、元気を出してほしい。
ぼくも女神様もそう思っている。

 どうしたらいいのかな、そう思いながら買い物に出ようとする。
「コマ、ちょっと待って。」
女神様が言う。
「美子に、絵本を買ってきてあげて。少しは気分転換になると思うから。」
「絵本。わかりました。」
なるほど、と思った。
どんな本にしようかな、そう思うと買い物に行くのが楽しみだ。
雨は、少し弱まった。

 晩御飯のおかずを買って、本屋による。
牛乳も買ったから結構重い。
買い物に行く順番を間違えた。

 本屋では、女の子がお散歩に行く絵本を買った。
絵がきれいで、話もなんとなく素敵だと思ったから。
本屋を出ると、雨がやみ、太陽が顔を覗かせていた。
そして・・・

 急いで家に帰る。
そして、荷物を置き、美子に声をかける。
「美子、晴れたよ。外に行こう。」
「ん・・・でも・・・」
少し渋るが手を引く。
「あら、どうしたの、そんなにあわてて・・・」
女神様も来た。
「あぁ、ちょうどよかった。女神様も一緒に・・・」
ぼくは二人の手を引いて外に出た。

「ほら、あそこ・・・」
ぼくは鳥居の向こう側を指差した。
そこには、大きな虹がかかっていた。
「・・・きれい・・・」
美子は見とれ、そういった。
「やっと、笑ったねぇ・・・」
女神様は、美子の頭に手をのせる。
女神様も微笑んでいる。
「元気出して。これからは、私たちが家族だから・・・」
「・・・うん・・・ありがとう・・・」
美子は女神様に抱きついている。
ぼくは、それを見て少し安心した。


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