「あはははは、そんな感じ、そんな感じ。」
美子が笑いながら言う。
「じゃ、横にピラミッドとか描いたら・・・」
「あら、意外とうまいねぇ。」
女神様がのぞきこんで言った。

 ぼくはスフィンクスの絵を描いていた。
きっかけは簡単。
いつもと同じ、女神様の一言だ。
お昼ごはんを食べながら、なぜかスフィンクスの話になったのだ。
そのとき、女神様が言った。
「そういえば、狛犬の起源って、確かスフィンクスだったような・・・」
ぼくは驚いた。
ご先祖様はまさかのスフィンクスだ。
「で、スフィンクスってどんなのでしたっけ?」

 ぼくは女神様にスフィンクスの特徴を聞いた。
「あぁ、大体わかりました。」
そして、ちょうどスケッチブックがあったから絵を描いてみたのだ。
ある程度描いてしまったら、女神様が言った。
「絵の具もあるけど、色も塗ってみる?」

「何か、すごくそれっぽくなったねぇ・・・」
女神様は驚いている。
「自分でも意外・・・」
「今度、お花の絵を描いてよ。」
「ん・・・あぁ・・・」
ぼくは生返事をする。

 それ以来、ぼくは時々絵を描いている。
鳥の絵が多いが、評価はそこそこだ。
でも、新しい趣味ができて、ぼくはちょっとうれしかった。



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