その日、女神様はお祓いのお仕事に行くときと同じ格好をしていた。
ぼくはその手の服を持っていないのでとりあえずスーツを着た。
美子もおしゃれをしていた。
「新しい人生を始める記念日だからね」
女神様はそう言っていた。

「生まれ変わったら、多分二人のことは忘れてしまう。
でも、生まれ変わっても二人のことは大好きだから…」
それが、美子の最後の言葉だった。

 やさしい雨が降りそそぐようにやってきた美子は溶けて流れる雪のように新しい世界を求めて旅立った。

 悲しくて苦しくて、でも認めたくなかったからぼくは泣かなかった。


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