まだまだ残暑が厳しい9月のはじめ。
ぼくは掃除を終わらせ、洗濯物を干していた。
そこへ、見覚えのある人が、神社にやってきた。

「やっぱりここは涼しいなぁ・・・」
そういって背伸びをする。
「タカシくん?」
ぼくは声をかけてみる。
お祭りに来てくれた、裏のアパートの大学生だ。
「あぁ、コマくん。久しぶり。」
体つきの大きい人だ。
そしてぼくより少し背が高い。
「珍しいね、どうしたの?」
「うちのクーラーが壊れちゃってね・・・ここは日が当たらなくて涼しいんだ。」
そういうと、神社で一番大きな木の陰に座った。
今、クーラーは管理人さんに言って電気屋さんを呼んでもらってるらしい。
しばらくここで本を読むよ、と持ってきた本を開く。
ぼくは洗濯物の続きを干し始める。

「そういえば、いつもここで何してるの?」
タカシくんがふと本から顔を上げて言う。
「ぼくは大体家事をしてるよ。それが仕事。」
「ふうん・・・家事か・・・えらいね。」
「タカシくんは学校行かなくていいの?」
ぼくはふと聞いてみる。
「大学は9月終わりまで休みなんだ。」
そう言って、また本を読み始める。

ぼくは洗濯が終わり、中に入る。
今度は中の掃除だ。
「じゃぁ、またね、タカシくん。」
「ん・・あぁ、またね。」
そういうと、本の続きを読みはじめた。

 女神様にさっきタカシくんがいた、という話をした。
すると、まだいるなら、昼ごはんに誘ってみたら、といわれた。
「タカシくん、お昼御飯一緒にどう?」
「ん・・・じゃぁ・・・お願いしようかな・・・」
今日の昼はそうめんだった。
ぼくがタカシくんを誘っている間に、女神様が準備をしてくれていた。
お客さんが来ると、美子も大喜びだ。
今日の昼は楽しいものになる、と思った。

帰り際、タカシくんは言った。
「コマくん、うちにも遊びに来てよ。
大学は長期休暇で友達はほとんどみんな実家に帰ってるんだ。」
「うん、わかった。そのうち、暇になったらね。」
ぼくは約束した。

「コマ、友達ができてよかったね。」
中に戻ると、女神様が言った。
「えぇ、おかげさまで。」
「人間として生きていくんだから、仲良くして人間のこと、いっぱい学んでね。」
「はい。がんばります。」
ぼくは、これからがすごく楽しみになった。


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