空には、真珠のようにまっしろでまあるい月がうかんでいました。
その下には、広く、果てしない砂漠が広がっています。
そこには、男の人と、女の人がラクダを連れて歩いていました。
「どこまでいっても砂漠だね。」
男の人が言いました。
「そうね、オアシスも見えない。」
女の人が答えます。
「そろそろオアシスくらいあってもいいと思うんだけど。」
二人は、会話をしながらポツリ、ポツリと歩いていきます。
女の人は、ふと立ち止まり、空を見上げました。
「月がきれいね。」
「疲れたんなら、ラクダに乗ってもいいよ。」
「ううん、大丈夫、なんとなく月が見たかっただけだから。」
「そう。」
本当は疲れてるのに、男の人は思いました。
疲れているなら、無理をしなくてもいいのに。
でも、口には出さずに歩きはじめました。
「私たち、どこから来たんだったっけ?」
女の人は聞きました。
「もう忘れたよ。」
男の人が答えます。
「これから、どこにたどりつくのかしら?」
女の人は少し不安そうに聞きます。
「きっと、素敵なところだよ。」
男の人は、自信たっぷりに答えます。
二人は歩いて行きました。
素敵なところを求めていきました。
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