翌年3月下旬
その後、僕たちは別々の街に引っ越した。
お互いに、時々電話や手紙で連絡を取り合った。
しかし、なかなか会えないままに、結局春休みを迎えた。
手紙によると、兄貴は大学に進学しなかったらしい。
成績は結構よかったから、その気になればどこかの大学には行けたんじゃないだろうか・・・
兄貴は、いつか民俗学をやりたいといっていた。
あの村にあったような、いろいろな民話や言い伝えをたくさん知りたいと・・・
お姉ちゃんも、仕事には就かなかったらしい。
バイトで稼いでいた貯蓄を少しずつ食いつぶしながら、今後のことを考えたい、といっていた。
お姉ちゃんは、将来お嫁さんになりたい、といっていた。
それは、僕が知る限りずっと、だ。
「子どもみたい」だけど、「好きな人とずっと一緒にいられる」というのが大事なことだそうだ。
でも、「お婿さんにしたい人」とは、「絶対に結婚できない」そうだ。
そして僕は、来月から中学生になる。