お昼過ぎになると、タカシくんがやってきた。
「こんにちはぁ・・・いますか?」
「あれぇ?タカシくん?」
コートを着て耳あてまでしている。
「寒いね、お参りに来たよ。」
「めが・・・お母さん、タカシくんがお参りに来ましたぁ。」
ぼくは女神様を呼んだ。
人前では親子、ということになっている。
女神様をお母さんと呼ぶと、少し照れてしまう。
「メガお母さん?コマ、君たちの事は聞いたから、普通に呼んでいいよ。」
タカシくんはメガお母さんに受けて爆笑していた。

 タカシくんはお賽銭を入れてお祈りをした。
「ここはほかの神社みたいにお守り売ったり屋台出したりしないんですか?」
タカシくんが女神様とお話している。
「えぇ、うちは零細だから。あんまり参拝客もほとんどいないのよ。」
女神様は少しさみしそうに言った。
「タカシくんは実家に帰らないの?」
ぼくは、タカシくんに聞いてみた。
「あぁ、昨日までバイトで明日からバイトなんだ。休みは今日だけ。
だからもう少ししてから暇になったら帰るよ。」
タカシくんはそういって笑った。

 しばらく話したあと、タカシくんは帰った。
「大学生も大変なんですね。」
「生活費を稼がないといけないからね。」
女神様は感心した、といった感じで言う。
「一人暮らし、してみたい。」
話を聞いていた美子が突然とんでもないことを言い出す。
「ちょ・・・本気?」
「うん、やってみたいと思う。」
「あと、15年位してからね。」
女神様が言う。
「うん、わかった。」
美子は物分りがいい。
その夜は、みんなで一人暮らししたらどうなるか、を話していた。
今年はじめの夜だった。


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