「買ったのはほとんど野菜だったな。」
弟が不満そうに言った。
「女神様はお野菜が好きだからね。」
「じゃぁ、リクエスト聞くなよ。」
「まぁ、そう怒るなって。」
ぼくは近所のから揚げ屋による。
「こんにちは、500円分お願いします。」
「おやおや、今日は豪勢だねぇ。」
ぼくは普段、300円分を注文する。
「弟が来ていますので。」
「そうかい、いいことだねぇ。」
から揚げ屋のおばあさんは少しサービスしてくれた。

「コマ兄!!お帰り!!無事だった?」
家に帰ると、半泣きといった感じで美子が飛び出してきた。
「おぉぉ?美子?大丈夫だったよ。」
ぼくは美子の頭をなでながら言う。
「心配かけたね。」
「もう、危ないところに行かないでね。」
「・・・・・・えっと・・・」
ぼくは返事ができなかった。
そこへ、女神様も出てくる。
「コマ!!お帰り!!無事だったのね?」
「ご心配おかけしました、ひとまず無事です。」
よく見ると、女神様も半泣きだった。
「兄者・・・俺一人でやろうか?」
見かねた弟が後ろから小さな声で言う。
「いや、そういうわけにも行かないだろう。」
「とにかく、中に入って。それから、詳しい話を聞かせて。」
女神様は言った。

 晩御飯のときに、詳しく報告した。
直接戦わないこと、時間がかかりそうだけど少しずつお清めしていくこと、
丑の刻参りを追い払うこと、など。
「そう、じゃぁ危険はないんだ。」
女神様は安心した声で言う。
「まぁ、お昼にやってしまえば大丈夫かと。」
「夜は大変なんじゃない?」
美子が心配そうに聞く。
「手伝おうか?」
「いえ、これは私たちの神社の問題です。
せっかくですが、私と兄で解決いたします。」
弟は堅苦しく断った。

 夕食後、出かける準備をする。
今日は丑の刻を追い返すのに待つ場所を探すのが大きな仕事だ。
危ないので神社の中には入れない。
「コマ兄・・・大丈夫?」
美子は心配そうに聞く。
「今日までは・・・大丈夫だよ、多分ね。」
「絶対帰ってきてよ。」
その言葉に、ぼくは返事ができなかった。

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