ぼくたちは、丘の上から神社を見ていた。
「ここが一番見やすいな。」
「でも、ここからじゃ追い返せないね。」
「これ以上近付くのも危険だが・・・どうしようか。」
ぼくも弟も辺りをキョロキョロ見回す。
「出入り口が確実だろうが・・・」
「危なすぎるって。」
「・・・そうだな・・・」
「そもそも、そう毎日毎日来るわけじゃないだろうからね。
見ていて気が付いたら止めに行こう。」
「まぁ・・・それが無難か・・・」
時間がかかるがそれが一番確実だ。
「安全なら交代で見張るか?」
「いや、何かあったときに二人いないと対処できないかもしれない。」
結局、ぼくたちは二人でここを見張るのだ。
弟はすでに疲れた顔をしている。
「少し寝ていいよ。すごく疲れて見える。」
「いや、大丈夫だ。あんまり疲れてない。」
弟はそういうとため息をつく。
でも、ぼくはそれ以上追及しなかった。

「誰も来ないな・・・」
弟が言う。
「まぁ、丑の刻って夜中の2時くらいだからね。」
時計を見てもまだ10時前。
誰も来なくて当たり前だ。
「なっ・・・兄者、それを知っててこの時間に来たのか!?}
「だって時間通りにはじめるとは限らないだろ?」
ぼくは反論する。
この考え方は間違ってはいないはずだ。
「いや、それなら12時前はない。間違いなくない。」
弟はなおも突っかかってくる。
「・・・よそう。ここでけんかしても始まらない。」
「・・・そうだな・・・時間は明日話し合おう。」
ぼくたちは深呼吸をして改めて神社のほうを見る。
あの黒い物体がうねうね動き始めていた。

「おい、兄者、あれ・・・」
弟が神社のほうを指差す。
「ん・・・どうした?」
「いや、丑の刻参りの格好をしていなかったから通行人だと思ったが、
今二人組みが中に入って行ったぞ。」
「なんだと!?」
ぼくはあわてて神社のほうを見た。
次の瞬間、ぼくは神社のほうへ走り出していた。

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