人が“至福”と感じる出来事や環境は、人それぞれに違っているでしょう。
私の場合は、“至福の時”という時、まず思い浮かべるイメージは、とんでもなく美味しい食べ物を食べて脳が放心状態になり、体が純生理状態へと近づいて、何も考えてなく <幸福感>にひたっているといった情景です。
最近の記憶に残っている“至福”の食べ物の第一番は桃です。 桃は、簡便にしかも頻度が高く 恍惚状態へと導いてくれる有難い果物です。 今は梨とブドウの季節なので、ほとんど毎食後おいしく 頂いていますが、どれか一つだけ果物の種類を選びなさいと言われたら、桃を別にすれば、リンゴに説得力を感じています。 おいしいリンゴに当たった時は、「果物の“王様”はリンゴかな」 とつぶやいてしまいます。
料理では、体験的に言うと、一度に多種の原材料をリアルタイムで口に放り込める料理が有利だと思います。 我が家で 最も期待を裏切らない料理の一つは焼き餃子です。 加入している “自然派コープ” の週に一度の宅配の “野菜箱” に 「ニラ」 が入っていた時 “みどりさん”は頑張ってくれます。 特別の作り方はしていない様ですが、具はキャベツ・白菜・ニラ・ネギ・生姜・生椎茸・豚肉・干し海老などです。 焼け立てを柑橘の酢・醤油 と“七味屋”の七味唐辛子をつけて 口にほうばった時は、ヤケドも何のその 「死んでもいいか」(笑)と思うのです。
さて題目で 「我が」 と断り書きをしましたのは、食べ物が促す一般的な“至福”というよりは、私の日常生活の形式がもたらす私の特殊な“至福”を報告したいと考えたからです。
この夏は大抵 朝は4時から4時半にかけての起床がほとんどです。 ゆっくりと歯を磨いて、ひげを剃りながら、一日一日微妙にずれてくる夜明けを待ちます。 散歩へ出かけるための時間待ちです。 コップ一杯の生ぬるい水を飲んでから出かけます。 腰痛の予防と治療のために、私にしてはめずらしく きわめて意志的に 山すそまでの往復約三十分の散歩を毎日決行(!)します。
今朝(9月16日)もまだ星が輝いている5時前に出発しましたが、南の空には、思わず 「知らなかった!」 と発してしまったオリオン座が秋の澄んだ空気の中で さん然と輝いているのです。 オリオン座が明るさの中で消えていくのを見守りながら、早朝散歩のレギュラーの方々と挨拶をかわして帰ってくると、汗かきの私はびっしょりと汗をかいています。 すぐシャワーで汗を流すのですが、実はこれからが私の“至福の時”が始まります。 シャワーをして気分が爽やかになった所で、腰痛対策のために 「のびのびサロンシップ」 を3ヶ所左脚に貼って、ますます良い気分になり、ゆっくりとスピーカーの前に腰掛けて、バッハのチェロを“ほどほど”の音量で聴きます。 以前にも書きました様に、決まってチェロ組曲の5番です。(〜よく飽きないものだと思ってはいます) それを聴き終わってゴソゴソしていると家内が起きてくれます。 朝一のパソコンのメールを確認してから、朝ごはんの準備に取り掛かってくれます。 朝ごはんは、我々「御夫妻」(笑) の三十年間の知恵の結晶で、毎日決まった8〜10種類の素材が少し大きめの皿に少しづつ並べられます。 それに焼海苔一枚、「チン」 した牛乳が150ml くらいつきます。 白いごはんを食べ終わると、季節の果物と お菓子とお茶が出て、朝食はお終いになります。 それが8時くらいになるのが普通ですが、スピーカーの前に腰掛ける6時くらいから朝ごはんを食べ終わる8時くらいまでの二時間が、私にとっての“至福の時”になる事が、この夏は時々起こりました。
一回でも多く“至福の時”が私を訪れることを願っています。
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