我が家の10畳ほどの応接には、フェルメールの 「真珠の耳飾りの少女」(1665〜’66年)と 「牛乳を注ぐ女」(1658〜’59年)のポスターが貼ってあります。
アトリエの壁には適当な空いた場所がないためと、フェルメールの絵を眺めながら自分の絵を描くのはいかがなものか、という二つの理由で応接に貼ってあります。 実際に絵を描いている途中で判断がつかないとか、うまくいかなくて困り果ててしまうとかした時には、この二枚のポスターを眺めて、何か解決策が埋まっていないか探すのですが、結構な頻度で<宝物>が見つかるもので、霊験あらたかな有難いポスターといえます。
ところで応接にはその他に、レオナルド・ダ・ヴィンチの 「モナリザ」 のポスターと 「岩窟の聖母」(1503〜’06年、ロンドンナショナルギャラリー蔵・・ルーブル美術館にも同名の彼の絵があります) に描かれている天使像の頭部の部分図 (画集から切り抜いたもの) も貼られています。
そのレオナルド・ダ・ヴィンチの描いた天使の顔立ちとフェルメールが描いた 「真珠の耳飾りの少女」 の少女の顔立ちが、瓜二つと言いたい程似ている事が今回のトリビアです。
気が付く特徴を挙げます。
(1) 左肩の方へ頭部を心持ち傾けたポーズを左肩越しに描写してある事
(2) 左目の目尻からこめかみにかけての陰影の深さがそっくりである事
(3) 鼻の描写における陰影の強弱の与え方が似ている事
(4) 口元の表情のやさしさが微妙に似ている事
(5) 瞳の表情がくっきりと強調されて描かれている事
以上挙げたような特徴は昔のヨーロッパの画家達が人物画を描くための常識として多くの人が習得していた技術や知識であった可能性が高いと思いますが、“他人の空似”と言うには少し似過ぎている印象を受けるので、もしかしたらフェルメールが 「岩窟の聖母」 をどこかで観たのかもしれないと勝手に想像しています。
その可能性について、物識りの学者さんに尋ねてみたい気持ちが少しだけあります。 恐らく 「そんな事、とっくの昔にかたがついているよ」 と言われそうですけれど。
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