COLUMN
いつも ありがとうございます


制作者・・・・坂田みどり(妻 パソコン歴 六年半になります)


 281    <構図>について (瑞来記)
更新日時:
2004/02/11
私も、すでに三十年に余って絵を描いている訳ですが 「構図とは何なのだろう」 という問いには、今もって少しも具体的に<解答>を用意する事ができません。
私の場合、ほとんどが静物画ですから、描き始める時の最初の仕事はモデルをセッティングする事です。それによって<構図>の大筋が決まってしまう訳ですから、モデルのセッティングが全製作過程の中で重要な<判断>の一つであることは誰にでも明らかです。 しかしながら、その<判断>が妥当であるかどうかは絵をお終いまで描き切ってみないと判りません。 モデル達の色々の組み合わせの善し悪しは、その後に続く<描写>という具体的な<技術>を抜きにして、単独では有り得ないからです。 と言う事は、モデルのセッティングの姿・形から、絵の仕上がりの絵柄(=絵の未来) を予想することは、大抵の人には困難な事です。 従って、モデルのセッティングの、より良い組み合わせという問題に<解答>を与える事は大抵の人には出来ない相談なのです。
そんな事情から、モデルのセッティングは、適当な所で<見切り発車>せざるを得ません。 又、「なんとかなるさ」 と、一刻も早く描き始めないと<生物(なまもの)>は、一分(!)ごとに確実に衰えてくるという差し迫った要請もあります。
とにもかくにも<描いてみないと><構図>は正確な姿・形を現してくれないのですから・・・。
それで現在のところ<構図>というのは、モデル達 (主に生物)との<一期一会>を含めて、神様が私に与えてくれる絵の<DNA>であって、それを豊かにするのも貧しくするのも<それからの>私の研鑽にかかっていると考える様にしています。

 282    年を取る有難さ (瑞来記)
更新日時:
2004/02/04
前回は二十五年以上も前の京都の話でしたが、今回は最近の話です。
これも家内に連れられて京都に行った時のことです。一泊して自分達のための京都みやげを求めるためホテルの近くの和菓子屋さん(前回のコラムのとは違うお店)を訪れました。というよりも、そのお土産のためにそのホテルにしたのでした。
朝も九時半頃であったと思いますが、おみやげの生菓子を買ってから、ホテルに帰ってすぐに食べたいと思って二つだけ別に買い求めた所、ちょうどお店に女将さんが居合わせて、「そんならそこの椅子で、どうぞ」 ということで、お店の一隅に置いてあるテーブルでお抹茶を出して頂いて、お菓子を頬張りました。
そこのお菓子は、味をかろうじて憶える程度には食べていたので、想像の範囲のおいしさであったのですが、出して頂いた抹茶が、味わった事のないおいしさでした。世間話をしながら女将さんに向かって 「我が家は寺町二条のお茶屋さんの抹茶をたまに宅配で取って飲んでいますが、これほどにはおいしくはありません」 と少しお世辞を言ってみたのですが調達先の具体的なお店の名前は<ひみつ>ということでした。(残念でした!)
しかし、生涯の自慢話の一つにしたい様な一期一会が起こるのは年を取ったことの利得で、相手が警戒心を解いてそれなりに接してもらえるおかげです。 身体的には年を取っていいことは一つもありませんが、人間関係の上では<捨てたもんじゃない>という出来事が時々起こります。

 283    日本文化事始 (瑞来記)
更新日時:
2004/01/29
もう二十五年以上も昔のことになりますが、家内に連れられて京都見物に出かけた時のことです。 
ホテルから家内が評判の和菓子屋さんに予約の電話を入れました。恐る恐るの様子であったと思います。あれこれやりとりがあってから、明日の午後三時に取りに行くということで話がつきました。 とにもかくにも翌日の午後三時にお菓子屋さんを二人で訪れました。お店といっても普通の“おうち”と違っているのは、玄関に<嘯月>の暖簾が掛かっているところだけです。内側の見えない引き戸を、意を決して家内(私ではありません)が開いて、おずおずと声をかけます。 玄関のたたきに続いて背の高い上がり框のある三畳ほどの畳の間に置き台があって、その上に私達のためのお菓子と思われる折箱弁当風の紙包みが一つだけ、ぽつんと置いてありました。 奥から、女将さんが出てこられてお互いの挨拶があってから、女将さんが 「三十分以内に食べられますやろか、そうしやはらんと売られしまへんえ」(京都弁のつもりでお読み下さい)とおっしゃる。 恐れ入りながら 「これからホテルに帰って、すぐに食べますから」と言うことで、お許しがでて無事手渡して貰います。 女将さんも、私達が物を知らない様子だからと少し “ドス” をきかせたのでしょう。
早速、ホテルで試食です。 “きんとん”を一口食べてから顔を見合わせて 「あぁ〜!」 です。 何故 “ピンポイントの予約” をしなければならないのか、何故三十分以内に食べないと売りたくないのか、色々の疑問が腑に落ちてくる<味わい深さ>でした。
単に私のお菓子のイメージを覆すに十分な説得力であったばかりでなく、私が日本の<文化>に初めて自覚的に接した<日本文化事始>の事件でした。
私も日本の片隅で、文化に関わる仕事をしています。 いつの日か、あの時のきんとんの様な<純粋無垢>を地球から取り出せたらと感じています。

 284    すぐきの漬物のチャーハンについて (瑞来記)
更新日時:
2004/01/21
我が家ではひと月に一度、京都の漬物屋さんから漬物セットが届きます。季節の漬物が3〜4品組み合わせてある<グルメ便>です。 毎年一月のセットの中に<すぐき>があります。一年に一度食べることのできる貴重品です。勿論<実>の方の漬物もおいしくて、この時ばかりは高名な<大吟醸>を飲みたいなと思ってしまいます。
すぐきの<葉っぱ>は、チャーハンにします。美味しい物は世の中にいっぱい有りますけれど<滋味豊か>という意味では、これに優る味は少ないはずです。これも一年に一度の御馳走です。京都の人を別にすれば、そうたやすくは手に入らないものですから、簡単に「お試しあれ」とは申せませんが、出合った時のために覚えておいて下さればと思います。詳しくは、家内のレシピをご参照ください。
 
@生姜・ベーコンはみじん切り、すぐきの葉も細かく切っておきます。 卵は、醤油を少し加えてほぐしておきます。
 
Aフライパンか中華鍋でゴマ油を熱して、中火で生姜をキツネ色になるまで (これが大事!・・・キツネ色になると体積が急に小さくなるので、それが目安です)炒めます。
 
Bベーコン・すぐきの葉も加えて炒めて、卵をいれ半熟位になった所へ御飯を入れて強火で炒め、鍋肌に沿ってお酒少々入れ、コショウををふり、サッと混ぜて出来上がりです。
 
(ベーコンとすぐきの塩分があるので、塩は入れ過ぎない様に!)

 285    きな粉のおむすび(おにぎり)について (瑞来記)
更新日時:
2004/01/15
私の父も母も、隣町川之江の生まれ育ちです。 家内は広島の生まれ育ちですが、両親は共に今治市の出身です。 何が言いたいかといえば、私達夫婦の両親は四人とも愛媛県東予地方(今治市から、川之江市までの瀬戸内海沿岸)の出身なので、私達二人には東予の文化的な共通の体験が少しはあるということです。
ある時、昼御飯にきな粉のおむすびを食べながら「美味しいね」と言うと、家内が「でも、このきな粉のおむすびでは、小学校の頃、恥ずかしい思いをしたのよ」と言って、母親が遠足のお弁当に、いつもきな粉のおむすびを作ってくれて、ある時、周囲の生徒から奇異の眼差しを受けて少しきまりの悪い思いをしたという思い出話をしました。私が「広島では、きな粉のおむすびを食べないんだ」と言ったら、「そうだと思う」と家内が答えて、それから話が発展して、ひょっとしたら、きな粉のおむすびは日本全国でも東予地方だけに限られているのかもしれないという結論になったのです。
(間違っていたらごめんなさい、他所の地方で食べておられる方がありましたら、お知らせ下さい)
きな粉のおむすびを知らない人のために解説をしておきますと、海苔の代わりにおむすびの表面にきな粉をまぶします。ここで暮々も間違わないでほしいのは、絶対に、きな粉に砂糖を入れないことです。そのままのきな粉をまぶします。
愛媛県には、全国に誇れる美味しい食べ物が少ない所だと感じていますが、この<きな粉のおむすび>は、南予地方の<さつま>と共に、一度、お試しあれとすすめたい一品です。
 
私(みどり)にとって、おむすびといったら「きな粉」だったので子供心に傷ついて、印象的に覚えています。
それで今回、瑞来さんが<きな粉のおむすび>についてコラムを書くというので、広島のメル友五人に聞いてみたり、インターネットで調べた所、一部、香川、富山、岐阜にもありました。


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