どんな事柄でもよいのですが、こんな物が好き、あんな物が好きと表明しようとする時には、特に秘密にしなくてもよい事でも、悪い事をする様な感じで、いくらかおずおずと<小声>の発言になってしまいます。
音楽の世界で、誰それが好き、あの曲が好き、あの演奏が好きという時も<逡巡する>に変わりはありません。 そのつぶやきの波及効果が我が身に及ぶのが怖いのでしょうか。 それを恥ずかしがる年令ではないのですが、それでも、ことがマーラーや唐獅子牡丹に及ぶ時には、やはりいくらかの<英断>がないと言い淀んでしまいます。 今回の話も<英断>の安売りによって発表されました。
又、導入は友人のTさんなのですが、Tさんも、私にキャプラン=ウィーンフィルの演奏するマーラーの<復活>を薦めた手前、責任を感じたのか、あるいは何か思い出すことがあったのか、手持ちの<復活>の聴き比べを敢行 (全曲およそ85分(!)位です)されたそうです。(メールがありました) Tさんも私も、お金持ちでない事は確かですが、Tさんはクラシックしか聴かない方( Tさんが、ジャズや演歌を聴いている姿を想像すると笑ってしまいます・・・)なので私に比べて密度の高い蒐集になります。
私は<よそ見>をしているので聴き比べができる程、豊富ではありません。 しかし例外が一つだけあって、Tさんからメールが届いた日に、私もつられてあちこちに並んでいたバッハの<無伴奏チェロ組曲>を一ヶ所に集めました。 「あるわ あるわ」というのはオーバーですが、覚えていたよりも沢山ありました。 チェロの独奏が12種、その他の楽器(フルート・ギター・リュート・サキソフォン・ホルン・マリンバ)の独奏が6種、あわせて18種(!) 家内に話したら<オタク>じゃないのと笑われました。
この曲の良い所は、体の状態 (普通の時・疲れている時・弱っている時・元気な時)にかかわらず、また、心の状態 (普通の時・沈んでいる時・悲しい時・愉快な時)にかかわらず、今日は聴きたくないと思わせないことです。
沢山はあっても、聴くのはいつもお気に入りの一枚だけで、それも組曲の2番と5番がほとんどです。 目下のところ、オフェリー・ガイヤールという女流のチェリストの2枚(マーキュリーアンボアズィAMB9905 9906)を聴いております。
(今年最後のコラム更新です・・・長文にお付き合い頂いて、ありがとうございました みどり)
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