今年の 1月1日のコラムで書いたのですが、フェルメールの<牛乳を注ぐ女>の 机について、あの机は 変則の五角形ではないのかという意見を 述べたのでしたが、すっきりとはしない気持ちではいました。
フェルメールほどの人ですから、嘘を描くとは どうしても思えませんでしたが、一方、フェルメールといえども 気が付いた時には 今更 改定するには 描き進み過ぎていて、そのまま描かざるを得なくなって、少し 不自然な図形のまま 押し切ってしまったとも 考えられなくはなかったからです。
ところが、先日(7月24日) “光飛び” の ほとんど 納まりかけている CDを 気持ちよく聴きながら(久し振りの高倉健の 「唐獅子牡丹」 でしたが) 何気なく フェルメールの画集をめくっていましたら、ウン!!という図柄が 目をよぎりました。
それは、<紳士とワインを飲む女>と題された作品でしたが、なんと 窓の下の壁に沿って 細長い六角形とおぼしき机が 描かれているではありませんか。 私には、すぐに!! それが あれであると悟りました。 早速、家内を呼んで確認です。 私の最初の印象では、<紳士とワインを飲む女>で描かれた机は、五角形に 見えたのでしたが、家内は 六角形に見える というので、二人で 虫眼鏡で確認したところ、どうも 六角形らしい という事で落ち着きました。 しかし、家内も この机が<牛乳を注ぐ女>の あの不自然な形の机に違いないという 私の意見には、無条件に肯いたのです。
窓の高さから計測される 机の高さの 低さ加減も 似かよっています。
細長い天板の両端が、三角形に切られている机が、手前側は 壁に接しているけれども、奥側の方で 壁から離されて置かれていると想像すると<牛乳を注ぐ女>の 少し 不自然な机の形も、不合理な形ではなくなります。
特に、手前側の 壁に接した部分の 薄暗いかなり謎めいた 机の輪郭は、三角形を描いている様に 見えるではありませんか!
やっぱり、フェルメール家には、変形の五角形ではありませんでしたが、細長い六角形の 天板の 机があったのです。 フェルメールほどの人が、嘘を描くはずがない という私の直観を、もう少し、信じなければいけませんでした。
念のためと思って、つい先日、知人が 送ってくれた<牛乳を注ぐ女>の 展覧会のカタログを めくってみましたが、私の この説は 明記されていません! ほんとに 美術史上の 大発見?!
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