カンザキのロレックスのオーバーホール作業手順
1、修理受付

時計の傷の状態の確認、故障内容の確認と、交換部品が必要かどうかをなるべく分解しないで確認します。

お客様の訴えは、「すぐ止まるようになった」との事です。

自動巻き装置に問題がない為、通常オーバーホール(25,920円)で受付ました。

2、分解掃除準備

時計の傷を一応、写真に撮り、繊細にできている、テンプ一式と文字盤を早めに外します。
3、外装品の洗浄

時計のケース、ベルト、竜頭などを、専用歯ブラシでゴシゴシと洗い、最後に超音波洗浄機に浸けます。
洗浄のみでかなりキレイになります。(部分修理の方は、洗浄しない場合があります)
4、ムーブメントの分解

分解しながら、交換、修理が必要な部品が無いか念入りにチェックします。この段階で、交換修理をする場合があります。
こちらの時計の調子の悪い大きな原因は、このゼンマイの汚れです。

昔からの時計修理屋さんには、このゼンマイを出して掃除をしない所が多くあります。なぜかと言いますと、セイコー、シチズンの自動巻きの香箱車(ゼンマイが入っている左の箱)にDON'T OPENとかかれているためです。
セイコーなどの技術講習会では、メンテナンスフリーと習ったようですが、このような状態では、必要なトルクが出ません。
当店では、必ずゼンマイを出し、掃除して専用工具でセットします。
それぞれの機能別に洗浄バスケットに分け、組み立て時のネジの入れ間違いを防ぎます。このバスケットを4段重ねて、全自動超音波洗浄機にセットします。
5、ムーブメント洗浄

ヴェルヴォー社の腕時計用、超音波洗浄器です。第1層、第2層に洗浄液、第3層にリンス液を入れ、回転と超音波洗浄で隅々までキレイにしてくれ、最後に乾燥までしてくれるすぐれものです。
洗浄中

よく分からないと思いますが、バスケットが回転しながら、下から超音波が出ています。透明な管は、液温を一定に保つ冷媒が入っています。。
6、エピラム処理

昔からある時計部品の表面コート処理です。大手メーカサービスセンター、そのメーカー出身の方のいる修理店なら必ず「エピラム処理」をしています。油を弾く効果があり、穴石の油を拡散させず一点に留めるため、「エピラム処理」をしない場合より、油が長く保たれます。
7、組み立て

左の油+裏蓋パッキン用グリース、モリブデングリースなどを使用して、組み立てていきます。

なるべく粘度の高い油を使用する方が、OHサイクルが長くなると分かり、高粘度の物を使用するようになりました。
8.組み立てほぼ完成

テンプは、とても繊細に出来ていますので、なるべく最後に組み付けます。
9、磁気抜き

磁気を帯びている時計は、磁気抜きをします。
10、歩度調整

日差、片振りを調整し、全体の姿勢さもチェックします。
11、検査と完成

左の機械は、「ファイナルテスター」と言いまして、人間の動きに近い回転をして、実際の姿勢差などをチェックする機械ですが、当店での使用方法は、ゼンマイがかなり解けた状態で、「ファイナルテスター」に掛け、自動巻き装置が働いているかどうかチェックしています。

この装置は、タイマーで1/3ほど切っています。ぎりぎりの巻上げで動くかチェックするためです。

2日ほど動いたらお渡し可能です。





続く・・・

写真で紹介


時計修理工具は、こちらです。


機械式掛け時計の調子が悪くなる原因は、こちらです。


機械式掛け時計の修理の様子を写真で紹介しています。


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