万年筆は、大切にメンテナンスを行いながら使いますと、一生でも付き合って行けるパートナー
となります。

かつては、使い捨てのように扱われてきた、中国万年筆も、今では十二分の品質を持ちますし、
愛着を持ち大切に長く使っていこうと言う気持ちにさせられるモデルも少なくございません。
中には中国での工場からの出荷価格が数十万というモデルまで、作られており、ヨーロッパ品な
どよりもずっと高価と感じるモデルも少なくございません。

万年筆の手入れの方法は、中国製品もヨーロッパ製品も日本製品も違いは無く、同様ですので、
今まで万年筆を使ってこられた方にとりましては、まったくご心配は無いかと思います。
 初めて使われる方も、一定の決まった管理だけされますと、本当に気持ち良くいつでも快適に
使っていただけるかと思います。

 万年筆の管理は少しめんどくさいと感じられるかもしれませんが、これが、習慣になって参り
ますと、めんどくさいと思っていた作業が楽しくなってきて管理することによって、ますます万
年筆への愛着が大きくなります。インクを吸入する作業によって、さー書きましょう!!とか、
書いている途中の吸入で筆を休め、気分転換とか、いったように、使い終わった万年筆を休めて
やるときも、しばらく休めた万年筆を再び使い始めるときも、他の筆記用具とは異なった、盛り
上がったり、落ち着いたり、少し楽しい気持ちが、書くと言う作業の前後についてまいります。
 
 前置きが長くなってしまいましたが、万年筆の楽しさは、この管理の中にもございます。是非
、長く使ってください。また、もし、使い終わったあと、万年筆を長く放置してしまい、書くこ
とができなくなってしまった・・とか、何らかの、ミスで、大切な万年筆が使えなくなってしま
った、などということがございましたら、遠慮無くご連絡ください。大切な万年筆です!できる
限り、元通りに戻すお手伝いをさせていただきます。

中国の万年筆は、実用品が多く、毎日のように使うことを目的に作られております。ペン先のサ
イズも、最近は、BやMのサイズを持つモデルも出てまいりましたが、まだまだ、細字のFが主
流です。
万年筆は、太字のモデルほど、当然、インクの流量は多く、書くときにかすれたりインクの出が
悪いなどと感じることは少なく、多少メンテナンスが行われていなくとも、たいて心地よい筆記
用具であると感じることができるかとと思います。しかし、反対にFなどの細字のモデルにおい
ては、インクの流量は少なく、少し調子が悪くなったペン先でも、インクがかすれたり、途切れ
たり、不快感を感じてしまいます。

中国製の万年筆は細字が主流として作られてきただけに、通常は、インクフローも良いですし、
細字が好みで漢字主体の筆記をされるなら、中国製を自信を持っておすすめいたしますが、時々、
メンテナンスをしてやることが、大切です。
細字の万年筆の多い中国万年筆です。是非、メンテナンスを行い,長く快適に使ってください。

昔は、安い中国製万年筆はメンテナンスも行われず、書けなくなると、やはり、中国製だ・・・
と、捨てられていたと聞きます。安いモデルであっても、ちゃんと管理してやれば、驚くほど快
適に長く使うことができます。

お店に来られるお客様の多くの方も、かつては、パーカーに似た万年筆を使った・・・あれが、
学生のころのお小遣いで買うことができて・・書き味も良かったので、何本も買ったものだよ!
でも、そのうち、書けなくなるんだよな・・なんて、昔の日本での中国万年筆の話を良く聞きま
す。

使えなくなるほとんどの原因が、キャップをはずしたまま放置していたり、机の中に忘れて数ヶ
月後にかけなくなっていた。。。机から落下事故・・なんて場合がほとんどのようです。もし、
中国製万年筆がずっと、高価なものであったなら、もっと、大切にされていたのかもしれません
・・。

中国の万年筆はそのほとんどが、カートリッジとコンバーターの両様式で、本体の回転式吸引式
や、凝った吸引法を持ったモデルはほとんどございません。
これは、作る技術が無いから作らないのではなく、インクの内蔵量を重視するより、メンテナン
ス性や互換性を重視しているからです。
(最近では、万年筆愛好家のために、回転式吸引方法の万年筆なども作られはじめていますが。。)
実際、万年筆は中国でも高価な筆記用具であり、長く使えることが、絶対条件となっております。
中国製万年筆はとてもメンテナンス性が高いですので、安心して使っていただけると思います。

さて、万年筆の使い方と、メンテナンスについて、書かせていただきます。

当たり前のことですが、万年筆は、大切に扱ってください。
万年筆の構造はシンプルに見えますが、実はとても精密な構造を持っています。
ペン先とペン芯は、いつもキレイにしておくのが一番です。
きれいだと、小さな変化も、あれ?と、気がつくことが多いです。

万年筆を使っていて、多いのが、落下事故です。
机の上から、ころころ・・ところがり、床にガツン!その落ち方で、床にペン先からまっさかさ
ま、なんて事になると、間違い無く、ペン先は壊れます。横から落ちたときも、胴軸が割れたり
、細部がずれたり・・こん時は、無理をして自分で直そうなどしないで、私達の所に置くってく
ださい。緊急入院が必要です。
中国万年筆は、キャップが胴軸のエンドにかぶせることのできるモデルと、付ける事のできない
モデルがございます。エンドにキャップがつけば、机の上でも転がらないで、クリップで止まり
ますが、キャップがつかないモデルは、要注意です。ペン置きなどを併用して使われると良いと
思います。

キレイに万年筆を保つと言うことで、万年筆のニブを、研磨用の硬い布で、ごしごし、こすった
りするのも、禁止です。GPモデルの場合など、金張りは、万年筆を腐食から守る目的で行われ
ているので、金を剥いでしまっては、困ります。
手ごろな中国万年筆には金張りモデルが多いので、要注意です。
拭くときは、柔らかい乾いた布で、「から拭き」してください。
間違っても、濡れた布や金属磨き、薬品などは絶対に使わないでください。

万年筆は、飾っておくためにあるのではなく,書くための道具です。できるだけ毎日でも使って
やるのが、一番と思います。
そして、1ヶ月に1回は掃除をしてやってください。
長く使わないときは、保管する前にも、以下の作業を行ってください。


掃除の方法は、いたって簡単です。
万年筆をお風呂に入れてあげると考えてください。

1、万年筆の握りの半分程度の深さまで万年筆がつかることのできる容器をよういいたします。
これは、ありあわせのもので、何でもOKです。
  一度沸騰した水を冷ました、ぬるま湯に万年筆の先から万年筆を浸してください。そのま
ま24時間漬けておいてください。

  容器の下にスポンジなどを、ひいておくと、ペン先をあやまって、容器の底で傷つけること
が少ないです。

  注意点は、絶対に洗剤などを使わないでください。


2、24時間経ったら、容器から万年筆を取り出し、水洗いしてください。
  この作業は何回も根気良く行い、ペン先からインクの色がついた水が出なくなるまで、洗い
流してください。

3、あとは、優しく、乾いた布で、水を吸い取るように、やさしく、優しく、拭いてください。


これらの、メンテナンスを行っても、インクが出ないときは、慌てないで・・私どものところに、
お送りください。分解掃除が必要と思います。

以下に私が昔から、中国で言われてきた万年筆の注意事項を書かせていただきます。

1.長く使わないとき、一度沸騰したお湯を冷ました水で洗浄して保管します。

2.書いたの後は、すぐにふたをする。

3.筆を立てたまま置くことは、ペン先が乾燥するので、良くない。特に先の太いペン先につい
  ては、注意が必要。

4.金筆に付いては特に、強い筆圧で書いてはいけない。
  縦に引くときは多少力が入っても良いが横に引くときは、優しく。  

5.万年筆を多く保存するとき、くっつけて、おいて置いてはいけない。

6.万年筆を保存するとき、乾燥時は、保管ケースの中に水の入ったコップを置いておく。特に
  セルロイドの万年筆は乾燥は要注意です。

7.直射日光や高温があたるところは避ける。机の上でも、日のあたるところに置き
  っぱなしにするのは良くない。

8.コンパウンドでの研磨は絶対に行っては行けない。

9.洗剤等での洗浄も行っては行けない。

10.保存のとき、防腐剤を入れては行けない。

11.アルコールやベンジンも使ってはいけない。

12.インクの混用はいけない。

13.インクの寿命は1年と考え、古いものは捨てる。

14.春から夏にかけての天候の良い日は風を通してやる必要がある。

15.洗浄は手でごしごしあらわず、ゆっくりスポイト運動する。

16.キャップを閉めるときは、上にして閉める癖をつける

17.インク容量が少なくなったときは、すぐにインクを足す。

18.万年筆を飛行機に持ちこむときは気圧の問題があるので、インクを中にたくさん入れるか、
   まったく無いかどちらかにする。

思いつくままに、私が今までに聞かされてきた万年筆の使いかたについて、書いてみました。こ
れからも、このページについては書き足して行ければと思います。もし、これも書いておいたほ
うが良い!などということあありましたら、是非、ご教授いただけましたら幸いです。