中国万年筆のペン先について、良く聞かれることは、やはり、サイズのことと、日本製やヨー
ロッパ製品と比べての書き味についてのことです。
1、ペン先のサイズ
2、ペン先のサイズ変更
3、書き味
4、もし、書き味が悪い場合は
5、現行品ではない、ストック品や、特別高価な限定モデルの購入には、注意が必要!
6、私たちの経験
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私どもの会社に届いた、ペン先不良の
万年筆。
依頼者は、購入後、しばらく飾っていたが、やはり、使ってみようと、書いてみたら、引っ掛かりがあるし、インクが出ないときがあるなど、書き味が悪いことがわかったとのことでした。
当社での購入ではございませんが、安いものではなかったので、なんとか、使えるようにしてほしいということで、当社に調整依頼として届きました。
画像ではわかりにくいかもしれませんが、拡大してみると、ペン先が、左右上下にづれています。
通常、普通に見ただけでは、わかりません。 |
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調整された後のペン先。
ペン先の左右上下の張りを調整後割り切りの調整、ポイントの研磨を行い、ペン芯とニブの結合調整を行い。再度、優しく調整を行います。
珍しいメーカー、高価なモデルほど、注意して、日本に技術者のいる正規の代理店や、熟練した職人のいるお店で購入されることをお勧めいたします。 |
○ペン先のサイズ
まずは、簡単にペン先サイズについて・・
日本の万年筆も、ヨーロッパ・アメリカの万年筆も、ペン先のサイズを自分の目的や好みで、
EF、F、M、 Bと選ぶ事ができますし、多いメーカーではさらに、複雑な選択
肢が用意されているます。
それに比べて、中国の万年筆は細字サイズの1種類しか用意されいないモデルが多いです。
確かに、最近、いくらかの中国ブランドでは、Mのニブを持つモデルが登場してきましたが。
中国万年筆のBのニブを見ることは、日本では、ほとんどございません。
よくよく、中国の文具の見本市を見て歩いたり、文具店を回りますと、かつて作られた、
ボンレスハムのような太い胴軸に、大きな大きないり玉を持った、特殊な極太字の万年筆があ
ったり、会計筆と呼ばれる、EFをまだまだ、糸のように細くした極細の万年筆があったり、
ご存知の美工筆・・カリグラフィーニブ、などなど、西洋の万年筆とはまた異なった中国の実
用に合った、ペン先のレパートリーがあることがわかります。
現在の中国の万年筆業界の動きを見ておりますと、おそらく、数年のうちに、中国製の万年筆
も、F・M・Bのペン先が用意されるようになり、西洋や日本の万年筆と見分けのつかないモデル
が生まれてくるとは思いますが、私は、中国万年筆ならではのペン先をさらに、追及して、中国
万年筆独特なもが生まれ育ってくれるとうれしく思います。
最近、中国や近隣の国々のペン工場も、アメリカやヨーロッパの文具メーカーやファッショ
ンブランドのOEM万年筆を作ります。多くの場合、万年筆のニブはFよりMの規格に統一し
て作られることが多いです。私どもも、自社のオリジナル万年筆を発注する場合、たいてい、
需要の多い、Mペン先中心の生産になることが多いですし、そのペン先は、ドイツやフランス
で作られたものを採用する場合が増えております。
これらの製品は、アジアで作られても、デザイン・ペン先とも、ヨーロッパのものですので、
中国の風合いはございません。
だんだんと、西洋向けの製品の製作が増えているためか?最近では、中国国内でも、中国万
年筆独特のペン先やデザイン、風合いを残しているブランドは、少なくなりつつあります。
綺麗に調整された、中国万年筆のペン先の書き味は、とても滑らかですし、ヨーロッパのペン
先とはまた異なった、しなやかさを持った書き味を持ちます。
たとえば、皆様の良くご存知のブランド英雄でしたら、610や892、博士シリーズなどの書き味は、
使ってみますととても快適で、お勧めです。他にも多くの楽しい伝統のペン先を持ったモデルが
ございます。
是非、一度は、中国万年筆を手にしてみてください。
最近、面白いと感じるのは、中国の昔からの万年筆と西洋の万年筆の混ざり合ったような、モデ
ルの出現です。これも、また楽しく感じます。
○ペン先サイズ変更
また、もっと、細いペン先にしたい場合は、細くすることについては、中国万年筆は研磨可能です。
また、モデルによっては、研磨調整することにより、Fサイズから、Mサイズ程度の太さに近づける
調整も可能な場合がございます。
お買い求めになたお店にご相談されてみてはどうかと思います。
○書き味
中国万年筆の書き味は、快適で楽しいと書きましたが、心配だ・・と思われる方は多いと思い
ます。
ご存知のように、万年筆のペン先はとても、繊細であり、きちんと、最後まで仕上げられ、検査さ
れていないものは、これほど不快なものはございません。
きちんと、作られていない万年筆は、
インクが出ない! かすれる! ぼたぼたインクが漏れる! がりがりと紙面を引っかく!
書き出しのインクの出が悪い!
などなど、多くの問題が発生いたします。
中国万年筆を、入手する前に、心配になるのは、おそらく、上記のような問題が頻繁に起こるの
ではないかという心配だと思います。
一番安心なのは、お店で実際に気に入ったものを、納得いくまで書いてみて、購入することだと思
いますが、日本では、なかなか中国万年筆を取り揃えているお店はございません。
私どもは、万年筆を販売する販売業者ではございますが、取り扱いを始めた数年前は、皆様と同様の
心配がありました。
やはり、品質について。。当時は全く中国万年筆を扱っておられるかたは、日本にはおられませんで
したので、どうしてかな??と、 とても心配でした。
実際に長い年月、中国万年筆を手にしてきた、現在の萬佳店長の陳でさえ、日本のユーザーの要望に
答えられるだけの品質であるのか?? 自信はあるものの、心配は、あったといいます。
実際、中国万年筆を見て、製作者と会い、話を聞き、使ってみて、販売を決めました。
もし、問題が出たら、自分たちで直せば良い。中国の万年筆も基本的には、日本やヨーロッパの万年筆
と同じ、今までの経験で何とかなる。悪いものがあれば、出来る限り自分たちのところで調整すればよ
い。問題点を中国メーカーと相談しながら改善すればどんどん良くなる。そんな感じでスタートしまし
た。
ところが、いざ始めてみると、現在生産されつづけている現行のモデルについては、心配していた、不
良品が出ないのです。
今の中国の工場は、日本やヨーロッパの厳しい基準の中で、OEM製品をどんどん作る技術を持ちます。
良く考えると、わかることですが、悪いものがそんな出るわけがございません・・。不良品の多発の心
配は、取り越し苦労でした。
○もし、書き味が悪い場合は・・
めったに、そんなことはないと思いますが。。手にされた中国万年筆の書き心地が悪い場合は、「安く
買ったのだから、こんなものか・・・」と、あきらめて、捨ててしまわないで、少し、労力と経費はか
かるかもしれませんが、是非、調整に出してみてください。本来の性能を取り戻せば、驚くほど、快適
な書き味に生まれ変わります。
○現行品ではない、ストック品や、特別高価な限定モデルの購入には、注意が必要!
中国の万年筆に興味を持ち、のめりこんでいきますと、何故か?昔の中国万年筆に興味が沸いてまいり
ます。かつて作られた、中国政府が国賓のために作り出した特別の手作りモデルや、数十年前の焼き物
の万年筆などなど・・その美しさ、凝りようは現行品には無い重厚な魅力があります。
現在では、中国のかつての万年筆工場も、時代の流れから、工場のラインを万年筆ではなく、他の生産
物に変えているところも少なくありません。数年前までは、万年筆を作っていたのに、今ではパソコン
のパーツなどを作っていたり・・その、変換の速さには驚かされます。
面白いモデルを探していくと、そういった工場の倉庫にストックされた、かつてのモデルに目がいき、
なんとか、譲ってもらえないかとの交渉になります。
当然、当時の技術スタッフも入れ替わっており、万年筆のことがわからない方との交渉になることも少
なくありません。工場も在庫は売りたいので、譲ってもらえますが、問題は、この後です。
工場のストック品はたいてい、組み立てられた状態ではなく、パーツがばらばらの状態でストックされ
ている場合が多いです。
そのため、私達が注文を行ったら、工場の人達がそのモデルを簡単に組み立て、出荷となってしまいます。
万年筆に大切なのは、パーツ一つ一つの完成度の高さも必要ですが、何より重要なのは、それぞれのパ
ーツのバランスと、調整にあります。
バランスの調整は、簡単に見えて、なかな難しく、バランスをとる作業は熟練した技術が必要になります。
残念なことに、量産されるようなモデルは、完成体でストックされている場合が多いですが、高価な特殊
モデルほど、注文生産であったため、パーツでのストックとなります。
BSなどの純銀のモデルや、金線細工のモデルなど、とてもすばらしいモデルですが、これらは、パーツス
トックモデルです。
これらのモデルについては、入荷したとき販売を行う自社で、販売をする必要がございます。
中国万年筆については、高価なモデルこそ、調整設備と技術を持ったところから購入するのが望ましいと
思います。
折角、高価な、美しくすばらしい万年筆を手に入れても、快適に書くことのできないものでは、がっかり
です。よく確かめてお買い求めください。
○私たちの経験!!
実際扱ってみますと、昔の中国製に対するイメージは、十分信頼できる製品だと感じます。
安価なモデルであっても、書くことが出来ないなどといった問題は、めったに、起こりません。
私どもは、中国万年筆だけではなく、多くのヨーロッパ万年筆や国産の万年筆も販売しております。
驚かれると思いますが、ヨーロッパの数十万円する万年筆においても、上記のような問題は起こります。
中国の万年筆の、不良品の発生は、ほとんどヨーロッパの製品と変わらないのではないかとさえ、感じます。
心配しないで、是非、手にしてみてください。