仏 教 と現 代

「地救」のために何ができるか

地救ふぉーらむで熱弁をふるう松長有慶座主 4月25日(土)〜26日(日)の2日間にわたり、和歌山県の高野山で「地救ふぉーらむin高野山」が開催されました。「環境」をテーマにしたイベントが「高野山」で開催されると聞き、私にとっては接点が2つもあるということで、参加してきました。

 高野山はあいにくの雨で、しかも予想以上に寒くてびっくり! コートを持っていったのですがそれでも足りないぐらいでした。こんな寒い中で温暖化を議論するというのは、リアリティがないかも?

 フォーラムの主題は、12月にデンマークのコペンハーゲンで行われるCOP15(気候変動枠組条約第15回締約国会議)、つまり地球温暖化対策について各国の代表が話し合う会議に向けて、日本政府のケツをたたこう!というものです。キーワードは“いまこそ野心的な中期目標を”です。

 第一日目のトップバッターとして登場したのは、高野山金剛峯寺座主の松長有慶先生。先生は高野山大学の教授時代、学生とともに四日市ぜんそくの調査をおこなったことがあるそうです。また、近年は仏教とエコロジーとの関連について、さかんに発言をされています。この日も熱弁をふるってらっしゃいました。相変わらずお元気な様子で何より。

 また、基調報告として、デンマーク大使、アメリカの気候NGOの方、そして日本のNGO気候ネットワーク代表の浅岡美恵さんが演台に立ちました。

 会場から質問をどうぞ、との呼びかけに、やみくもに手を挙げた私が当たってしまい、デンマーク大使に「貴国での雇用と環境との関係について教えて下さい」と、地味な質問をしてしまいました。デンマークでは風力産業が躍進していて、国内に2万人の雇用を作り出しています。野心的な環境政策は、新たな雇用を創出するのです。

 第二日目は分科会。私が出席したのは、枝廣淳子さん(ジャーナリスト、アル・ゴア『不都合な真実』の翻訳者)、飯田哲也さん(NPO法人環境エネルギー研究所所長)、寺田達志さん(環境省地球環境局長)の3人がパネリストを務める分科会でした。枝廣さんと飯田さんはすでに有名な人ですが、意外に寺田さんがお役人っぽくない(なんとなく出世街道を外れてイジケた雰囲気のある)風変わりな人で、けっこう楽しめました。コーディネーターの「日本が野心的な中期目標を掲げるために環境省はもっと何かできないんですか」との問いに、「なーンもできません」と答えていました。おいおい(-_-;)

 話し合われた内容が膨大で、とてもスペースが足りませんが、ポイントは次の3点だといってよいでしょう。

(1)12月のCOP15は大事な会議!

 12月にコペンハーゲンで行われるCOP15は、ポスト京都の枠組みを決める重要な会議です。求められているのは、アメリカや発展途上国も含めた全地球的な枠組みです。

(2)2050年までに60%〜80%のCO2削減が必要!

 洞爺湖サミットで打ち出されたCO2削減率は50%でしたが、科学が要請するCO2削減率は、2050年までに60%〜80%です。そこで、それを実現するためには2020年頃までの中期的な目標(=中期目標)が必要となります。

(3)日本は野心的な中期目標を!

 日本は京都議定書でCO2のマイナス6%削減を決めたにもかかわらず、逆に90年比でプラス9%になってしまっています。このうえ低レベルな中期目標を立てたのでは、他国(特に最大の排出国である中国)に対して悪影響がありすぎます。中国などを引き込むためにも、野心的な中期目標を立てるべきだ、ということなのです。

 さて、大雑把に書いてしまいましたが、このために私たちは何ができるのか? まずは、何ができるかを「学ぶ」ことが大事だと思いました。そこで、個人的な話ですが、夏あたりに学習会を開催してみようかな、などと考えています。やっぱり温暖化をテーマにした学習会は、暑いときでなくっちゃね(笑)

2009年5月21日 坂田光永


《バックナンバー》

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○ 2009年3月21日「おくりびとと『死のケガレ』」
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○ 2009年1月1日「空と海をつなぐ」
○ 2008年10月28日「会津をめぐる」
○ 2008年9月21日「神秘主義」
○ 2008年7月21日「グリーフレス中学生」
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○ 2008年4月21日「聖火の“燃料”」
○ 2008年2月28日「妖精に出会う」
○ 2008年1月21日「千の風になるとして」
○ 2007年10月21日「阿字の子が阿字の古里…」
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○ 2007年4月21日「空海の夢」
○ 2007年3月21日「無量光明」
○ 2007年2月21日「よみがえる神話」
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○ 2006年11月21日「仏教的にありえない?」
○ 2006年10月23日「天使と悪魔 〜宗教と科学をめぐる旅〜」
○ 2006年9月21日「9/11から5年」
○ 2006年8月23日「松長有慶・新座主の紹介」
○ 2006年7月21日「靖国神社と仏教の死生観」
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○ 2005年9月23日「お彼岸といえば…」
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