仏 教 と現 代

三十三間堂の壮観

 二〇十三年三月十三日、京都の三十三間堂にお参りしました。時間もぴったり三時十三分。そして、私の年齢は三十三歳です。お参りする前に、私はすでに満足感で上機嫌でした。

 しかし、お堂に入って、その満足感が吹き飛ぶほど、その光景に見入ってしまいました。小学校の修学旅行以来の参拝ですが、大人になって改めて拝見しても、十分な驚きと畏敬を感じることができます。

 三十三間堂は、正式には「蓮華王院」という寺院で、後白河上皇のために平清盛が造ったのが始まりです。その後、焼失したために再建され、4度の大修理を経て今に至ります。長いお堂は約120メートルの総檜造りで、正面の柱間が33あることから、三十三間堂というニックネームで呼ばれています。

 この中に、千体の「十一面千手千眼観音」像が、ひしめき合って立っています。一人ひとりの観音様の頭上に11の顔があり、手は40種類の形を示しています。観音様は、「観世音菩薩」といい、困った人はいないか、救いを必要としている人はいないか、世界の音に耳をすませています。「法華経」には観音菩薩が33の姿に変化して衆生を救うと書かれていて、これが33の柱間の由来となっています。

 一つとして同じ顔、同じ姿はなく、それぞれに個性的な顔をしています。運慶の長男の湛慶をはじめ、当時の様々な流派の仏師が総出で造像にあたったことが想像できます。あの後白河、清盛という2人の超人でなければ、これだけの壮観な世界を地上に現出させることは難しかったでしょう。

 33歳の記念に、ぜひ皆さんもお参りください。

2013年3月21日 坂田光永




《バックナンバー》

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