仏 教 と現 代
花まつりの対機説法
4月8日はお釈迦様の誕生日である「花まつり」の日です。福山市仏教会は毎年この日に、各宗派の持ち回りで行事を開催しています。
今年は臨済宗の方々が担当され、かつてなくバラエティに富んだイベントが行われました。お釈迦様の誕生を祝う法要はもちろん、各宗派から1人ずつお坊さんが登場してトークを行うという「ぶっちゃけ坊主」(どこぞの番組のよう)、さらに各宗派の法衣やお坊さんのカジュアルウェアを紹介するファッションショーなど、なかなか賛否両論渦巻きそうなラインナップでした。
私は真言宗代表として推薦され(押し付けられ?)、トークショーとファッションショーに出演しました。
トークショーは某番組のような「お坊さんあるある」を喋るわけではなく、会場からの質問に答えるという形式でした。「不倫はしていますか?」「幸せと感じるのはどんなときですか?」という、そもそもそれをお坊さんに聞くかな、という質問が多く、非常に答えにくかったです。何か面白いことを言わなければと思いつつ、ついつい真面目に答えてしまって、「ひな壇坊主」としての力量不足を痛感しました。
また、ファッションショーのほうも、事前に提出する用紙に「護摩行のときに着る衣です」「白い紋が入っているので紋白(もんじろ)といいます」と書いたのに全然読み上げられず、ただ単に色と形を解説されてしまいました。本当は「真言宗の衣体には律衣と官衣があって、律衣は基本的に鮮やかな色は使わず、逆に官衣は…」などと紹介したかったのですが。え? そんな細かい話は聞きたくないですか?
実際問題、トークショーやファッションショーには業界内から批判が多かったです。「俗っぽい」「世間に媚びすぎ」などなど。確かにちょっと軽すぎるのはどうかとも思いますが、仏教のイメージを損なわない限りはいいのではないかと私は思っています。大事なのは、一般市民の目の高さでどう見えるかを想像すること。敷居を低くし、間口を広げることも時には必要です。
お釈迦さまは、相手によって教えの説き方を変幻自在に変えたそうです。「対機説法」こそが仏教の真骨頂といえるのかもしれません。
2016年4月21日 坂田光永
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